元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「デッドフォール」

2008-06-24 06:37:30 | 映画の感想(た行)
 (原題:Tango & Cash)89年作品。近年は開き直って「ランボー」や「ロッキー」といったかつての当たり役を堂々と使い回しているシルヴェスター・スタローン御大が、イメージチェンジを図ろうとしたフシのある作品。けっこう彼なりに悩んで役柄を模索していた頃の映画だ。

 スタローン扮するロス市警の腕利き刑事とカート・ラッセルのハミダシ刑事の二人組がマフィア相手に大暴れという、よくある刑事アクションものであるが、このスタローン刑事がそれまでの汗くさい雰囲気とは大違いで、なんとアルマーニのスーツを着こなし、頭がよくて財テクが得意というエリートなのだ。しかもユーモアのセンスも抜群というふれこみ。

 これは彼のキャラクターに全然合っていないと思ったら、はたして、悲しいほどサマになっていない。もともとインテリの部分があまりない(失礼?)人なのに必死でエリートを演じているあたりが爆笑を誘う。特に、いかにも脚本どおりにやりましたという一見しゃれたジョークを得意そうにとばすあたりは涙が出そうなくらいおかしい。

 でも、この作品のスタローンはいつものゴリ押しがなくてとてもいいと思う。ひょっとしたらこれが彼の新境地だったのかもしれない。つまり過去の自分が演じたキャラクターをパロディにしてしまう“おちゃらけ路線”というような・・・・・。“ランボーなんてメじゃないぜ”などというセリフも彼自身この映画の中で言っていることだし、けっこう本気かもしれない。今見直すと感慨深い映画なのかも・・・・。

 アクション・シーンはとにかくハデで楽しませてくれる。どちらかというと本格的刑事アクションというより、いろんな活劇の要素をぶちこんで笑いで味付けした香港映画みたいなノリだ。監督はなぜかソ連のアンドレイ・コンチャロフスキー。そのへんもウサン臭い(^^;)。
コメント
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