(原題:Killing Zoe )93年作品。クエンティン・タランティーノ監督が製作総指揮を担当。彼の僚友であるジェイムズ・エイヴァリーがメガホンを取った犯罪ドラマ。パリにやって来たアメリカ人ゼッド(エリック・ストルツ)は金庫破りでは名の知られた男。旧友エリック(ジャン=ユーグ・アングラード)と再会した彼は、銀行襲撃のチームに加わる。ところが、綿密に立てた計画はエリックの暴走により破綻。警官隊に囲まれた彼らは人質を取ってたてこもるが、人質の中に昨晩会ったばかりの娼婦ゾーイ(ジュリー・デルピー)を見つけたゼッドは、何とか彼女を助けて脱出しようと、エリックたちと血みどろの戦いを繰り広げる。
失敗に終わる強奪計画、ギャングたちの仲間割れの抗争などは「レザボアドッグス」そっくりで、若い娼婦と意気投合する主人公は「トゥルー・ロマンス」と似ている。過去二つのタランティーノ作品と似ているあたり、“亜流”との指摘を受けそうだが、観た印象は全然違う。ハッキリ言ってこの監督、タランティーノよりもっとビョーキだ。作者の興味は男同士がぶつかり合う硬派アクションではなく、「トゥルー・ロマンス」のゲーリー・オールドマンとブラッド・ピットを合わせたようなアブないヤク中のエリックの異常ぶりを見せつけることにある。
強盗に入る前夜に繰り広げられる、麻薬パーティのアブノーマルぶりはこの作品の白眉といえる。もう、ゲロゲロのぐでんぐでんである。カメラワークは歪みっぱなし、ほとんどノイズばかりのBGMが渦を巻き、これを延々と長回しする。ここでエリックは自分がホモでエイズだと告白するのだが、そんなセリフも忘れるぐらい、この映像のラリラリ度(?)は満点だ。当然、全員がヤクのやり過ぎでゲロを吐くまでこれが続く。
計画失敗に逆上し、殺戮を続けるエリックはどんどん狂気にはまり込んでいく。演じるアングラードは、「ニキータ」や「ベティ・ブルー」の彼とは同一人物とは思えないほどのハマリぶり。絶叫するギャングども。血しぶきをあげて倒れる人質たち。確かにスゴイけど、このままでは救いようがないぞと思っていると、ゾーイが物語の前面に出てくるところから、がぜん画面にメリハリが出てくる。
「トゥルー・ロマンス」のパトリシア・アークエットと同じような役どころだが、あっちは単なるパープー女(胸がちょっと整形臭かったぞ)、こっちの方がはるかにいい。当時はフランス若手女優の一人と持て囃されただけあって、アメリカの若手女優とは格の違いを見せてくれる。娼婦なのに知的でキュート、純粋な面も感じさせて、うーむ、やっぱりカワイイぞ(^^)。彼女がゼッドと二人でエリックとハデな乱闘を演じ、血ヘドを吐きながらつかみかかっていく場面もヨイが、前半でのゼッドとのセックス・シーンでテレビで流れるホラー映画と映像がシンクロしていくあたりの表情はサイコーだ。
舞台がフランスのせいもあるのか、どこかしっとりした印象を与えるし、ヨーロッパ・テイストたっぷりの音楽もいい。そしてまたアッケラカンとしたラスト。なかなかのの快作である。
失敗に終わる強奪計画、ギャングたちの仲間割れの抗争などは「レザボアドッグス」そっくりで、若い娼婦と意気投合する主人公は「トゥルー・ロマンス」と似ている。過去二つのタランティーノ作品と似ているあたり、“亜流”との指摘を受けそうだが、観た印象は全然違う。ハッキリ言ってこの監督、タランティーノよりもっとビョーキだ。作者の興味は男同士がぶつかり合う硬派アクションではなく、「トゥルー・ロマンス」のゲーリー・オールドマンとブラッド・ピットを合わせたようなアブないヤク中のエリックの異常ぶりを見せつけることにある。
強盗に入る前夜に繰り広げられる、麻薬パーティのアブノーマルぶりはこの作品の白眉といえる。もう、ゲロゲロのぐでんぐでんである。カメラワークは歪みっぱなし、ほとんどノイズばかりのBGMが渦を巻き、これを延々と長回しする。ここでエリックは自分がホモでエイズだと告白するのだが、そんなセリフも忘れるぐらい、この映像のラリラリ度(?)は満点だ。当然、全員がヤクのやり過ぎでゲロを吐くまでこれが続く。
計画失敗に逆上し、殺戮を続けるエリックはどんどん狂気にはまり込んでいく。演じるアングラードは、「ニキータ」や「ベティ・ブルー」の彼とは同一人物とは思えないほどのハマリぶり。絶叫するギャングども。血しぶきをあげて倒れる人質たち。確かにスゴイけど、このままでは救いようがないぞと思っていると、ゾーイが物語の前面に出てくるところから、がぜん画面にメリハリが出てくる。
「トゥルー・ロマンス」のパトリシア・アークエットと同じような役どころだが、あっちは単なるパープー女(胸がちょっと整形臭かったぞ)、こっちの方がはるかにいい。当時はフランス若手女優の一人と持て囃されただけあって、アメリカの若手女優とは格の違いを見せてくれる。娼婦なのに知的でキュート、純粋な面も感じさせて、うーむ、やっぱりカワイイぞ(^^)。彼女がゼッドと二人でエリックとハデな乱闘を演じ、血ヘドを吐きながらつかみかかっていく場面もヨイが、前半でのゼッドとのセックス・シーンでテレビで流れるホラー映画と映像がシンクロしていくあたりの表情はサイコーだ。
舞台がフランスのせいもあるのか、どこかしっとりした印象を与えるし、ヨーロッパ・テイストたっぷりの音楽もいい。そしてまたアッケラカンとしたラスト。なかなかのの快作である。