猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ダニー・ザ・ドッグ

2013-11-17 04:01:09 | 日記
アメリカ・フランス合作映画「ダニー・ザ・ドッグ」。
ダニー(ジェット・リー)は幼い頃母親と引き離され、悪徳高利貸しのバートに殺人マシンと
して育てられた。常に首輪をかけられ、バートが首輪を外して命令すると人を襲う。
地下室に住まわされ、人間らしさはほとんどないように見えたが、絵本を読むのを好み、
特にピアノの絵に心を動かされていた。
ある日ダニーは貸倉庫で盲目のピアニスト・サム(モーガン・フリーマン)と出会う。サムは
倉庫の中にあるピアノの調律のためにやってきたのだった。サムの弾くピアノの音色に、
ダニーは心温まるものを感じた。
数日後バートとダニー、バートの手下らが乗った車が銃撃され、バートは倒れ、ダニーは
必死に脱出した。再び倉庫に行ったダニーはサムと再会し、サムは喜ぶが、負傷していた
ダニーは気絶してしまう。
ダニーが気がつくと、そこはサムの家だった。サムは音楽学校に通う養女のヴィクトリアと
暮らしていた。ダニーはおびえ、なかなか心を開かなかったが、サムとヴィクトリアの
優しさに触れるうちに、少しずつ人間らしさを取り戻していく。そして殺人の世界で生きて
きた自分の人生に疑問を持つようになる。

リュック・ベッソン脚本のアクション映画だが、それだけではない感動的な映画だった。
幼い時から「闘犬」として育てられてきたダニー。命令されれば人を殺すことをなんとも思わ
ずに遂行する。恐ろしい、そして悲惨な生活である。
それがピアノを弾くサムとヴィクトリアに出会ったことで、ダニーの心は変化していく。
ダニーのその闘犬のような目は、次第に優しくなっていく。ジェット・リーの表現力はすごい
と思った。
それにしてもサムとヴィクトリアは、よくあんな異様な人間を家に住まわせる気になるなあ、
と思った。ダニーはほとんどしゃべらず、スプーンの使い方も知らない。首輪もつけている。
いくらなんでも普通の人間ではないとわかるだろうに、平気で同居するのはちょっと理解
できない。親切、お人好しを越えている。普通なら有り得ないだろうなあ。
ジェット・リーはこの映画の時40歳かそれをちょっと過ぎたくらいだったと思うのだが、
まるで青年のように見えた。ジェット・リーは強く、そして優しい。