カナダ・フランス合作映画「たかが世界の終わり」を観にいった。
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ
(ギャスパー・ウリエル)。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)は息子の好きだっ
た料理を用意し、兄に憧れる妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は慣れないおしゃれ
をして待っていた。浮足立つ2人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ
(ヴァンサン・カッセル)。彼の妻のカトリーヌ(マリオン・コティヤール)はルイ
とは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れる
かのように、っひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃に
は打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していくアントワーヌの毒舌に、そ
れぞれが隠していた感情があらわになる。
グザヴィエ・ドランの最新作。フランス映画の大物たちが顔を揃え、非常に見応
えのある作品になっている。自分がもうすぐ死ぬことを家族に伝えるために、12
年ぶりに帰郷したルイ。12年もの間絵はがきしかよこさなかったルイを、兄のア
ントワーヌは良く思っていない。母親と妹はとても喜んでいる。人と話すのが苦
手なアントワーヌの妻カトリーヌは緊張している。家族それぞれが思惑を抱えた
まま昼食は始まる。アントワーヌはとにかく毒舌で皮肉屋で、彼が何かを喋る度
に、カトリーヌやマルティーヌがなだめたり注意したり。ルイは皆のおしゃべり
の中で、いつ打ち明けようかとタイミングを見計らっている。けれどもアントワ
ーヌの毒舌が過熱し、シュザンヌと大喧嘩になってしまう。
主人公のルイはとてもセリフが少ないが、彼以外の家族はよく喋る。皆、12年
ぶりに帰ってきたルイを囲んで何を話せばいいのかわからず、とりとめのない
会話を続ける。肝心のルイが、何故帰ってきたのかを言わないのだ。私だったら
あんなに緊張で息詰まる食事の場にはいたくない。料理の味もしないだろう。
皆演技がうまいけれど、特にヴァンサン・カッセルはさすが。マリオン・コティ
ヤールもセリフの少ないギャスパー・ウリエルも、とても繊細な演技をしている。
怒ったり憎んだり、感情をぶつけ合い、傷つけ合うことでしか愛情を表現できな
い不器用な家族。ルイが帰郷したことでそれははっきりと表現される。ルイはそ
の役割のために帰ってきたのだろうな、と思う。痛々しくて愛情深い、家族の物
語である。
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「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ
(ギャスパー・ウリエル)。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)は息子の好きだっ
た料理を用意し、兄に憧れる妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は慣れないおしゃれ
をして待っていた。浮足立つ2人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ
(ヴァンサン・カッセル)。彼の妻のカトリーヌ(マリオン・コティヤール)はルイ
とは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れる
かのように、っひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃に
は打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していくアントワーヌの毒舌に、そ
れぞれが隠していた感情があらわになる。
グザヴィエ・ドランの最新作。フランス映画の大物たちが顔を揃え、非常に見応
えのある作品になっている。自分がもうすぐ死ぬことを家族に伝えるために、12
年ぶりに帰郷したルイ。12年もの間絵はがきしかよこさなかったルイを、兄のア
ントワーヌは良く思っていない。母親と妹はとても喜んでいる。人と話すのが苦
手なアントワーヌの妻カトリーヌは緊張している。家族それぞれが思惑を抱えた
まま昼食は始まる。アントワーヌはとにかく毒舌で皮肉屋で、彼が何かを喋る度
に、カトリーヌやマルティーヌがなだめたり注意したり。ルイは皆のおしゃべり
の中で、いつ打ち明けようかとタイミングを見計らっている。けれどもアントワ
ーヌの毒舌が過熱し、シュザンヌと大喧嘩になってしまう。
主人公のルイはとてもセリフが少ないが、彼以外の家族はよく喋る。皆、12年
ぶりに帰ってきたルイを囲んで何を話せばいいのかわからず、とりとめのない
会話を続ける。肝心のルイが、何故帰ってきたのかを言わないのだ。私だったら
あんなに緊張で息詰まる食事の場にはいたくない。料理の味もしないだろう。
皆演技がうまいけれど、特にヴァンサン・カッセルはさすが。マリオン・コティ
ヤールもセリフの少ないギャスパー・ウリエルも、とても繊細な演技をしている。
怒ったり憎んだり、感情をぶつけ合い、傷つけ合うことでしか愛情を表現できな
い不器用な家族。ルイが帰郷したことでそれははっきりと表現される。ルイはそ
の役割のために帰ってきたのだろうな、と思う。痛々しくて愛情深い、家族の物
語である。
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