猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

回転

2017-02-10 03:13:01 | 日記
1961年のイギリス映画「回転」。
ミス・ギデンズ(デボラ・カー)は家庭教師として田舎町のブライハウスという
屋敷を訪れた。そこでは、マイルスとフローラという幼い兄妹が長い間、メイ
ドのグロース夫人に面倒を見られながら暮らしていた。雇われて生活していく
うち、ギデンズは屋敷にいないはずの男の姿を屋上で見かけたり、湖の向こう
からこっちを眺める黒服の女の姿を見かけたりと、様々な怪奇現象に襲われる。
ギデンズはブライハウスについて調べ始めるが、自分の前任の家庭教師の女性
が悲惨な死を遂げていたことを知る。

モノクロのゴシック・ホラーである。古い映画なので今時のホラーのような派
手さや大がかりさはないが、底知れない恐怖を感じる古典的なオカルトという
感じ。ミス・ギデンズはブライ卿(マイケル・レッドグレイブ)に甥と姪の家庭
教師を依頼される。子供たちは両親を亡くし、唯一の身内であるブライ卿が世
話をしなければならなくなったのだが、ロンドンで働くブライ卿には子供たち
の面倒を見る気などなく、自分が所有するブライハウスで家政婦たちに任せき
りにしていた。子供好きなギデンズは楽しみにして出かけ、ブライハウスの周
囲の景色の美しさに感動する。子供たちもかわいくて賢く、生活を楽しんでい
たが、やがて不可解な現象に悩まされることになる。
この映画の怖さは、おどろおどろしい幽霊が出たり、妖怪のようなものに襲わ
れるそれではない。ギデンズが屋上を見ると、男が立っている。誰だろうと思
って屋上へ上がると、そこにはマイルスしかおらず、誰も見ていないと言う。
湖の向こうに女が立っていて、こちらを見ているが、やがて消える。窓に男の
顔が映る。何と言うのか、日本の昔の怪談みたいな怖さなのだ。廊下を一瞬誰
かが横切る、みたいな。じわじわくる怖さ。
ちょっと意外だったのは、ブライ卿が後で事件に絡んでくるのかな?と思って
いたが、何もなく冒頭だけの登場だったこと。何か関わっているんじゃないの
かなあ、と思っていたのだけれど。他にも疑問な点がいくつかあって、謎が残
ってしまったのが気になる。
この作品はヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」という小説の映画化である。
小説は読んでいないが、心理小説の名作と言われているそうだ。確かに映画で
もギデンズや子供たちや家政婦の心理描写が秀逸。映画より小説の方がおもし
ろそうだ。デボラ・カーが美しかった。



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