2000年のフランス映画「ハリー、見知らぬ友人」。
夏のある日、田舎の別荘で休暇を過ごそうと、ミシェル(ローラン・リュカ)は
妻クレール(マティルド・セニエ)と幼い子供たちを連れて車で移動中だった。
休憩のために止まったサービスエリアで、ミシェルは高校の同級生だというハ
リー(ハロルド/セルジ・ロペス)という男性に声をかけられる。ミシェルはハ
リーのことを全く覚えていなかったが、ハリーは親し気に話をする。恋人と車
で旅行中だというハリーは、ミシェルの別荘へ行くことになる。ミシェルが卒
業文集に書いた詩に感銘を受けていたハリーは、作家になれと勧め何かと世話
を焼き出す。だがその親切はやがて狂気へと暴走し始める。
ドミニク・モル監督によるサイコ・サスペンス。フランス語教師のミシェルは
妻クレールと幼い3人の娘たちを連れて別荘に向かっていた。車にはクーラー
がついておらず、子供たちは暑さと退屈でぐずっており、ミシェルとクレール
もイライラしていた。2000年の映画なのにどうして車にクーラーがついてい
ないのだろう、と思った。そんなに古い車なのだろうか。立ち寄ったサービス
エリアで、ミシェルは高校の同級生だというハリーに声をかけられるが、ミシ
ェルは彼のことを全く覚えていなかった。けれども話をしているうちにハリー
と恋人はミシェルの別荘に行くことになる。
最初に思ったのは、ハリーは本当にミシェルの同級生なのだろうか?というこ
と。ミシェルはハリーのことをまるで覚えていないが、ハリーはミシェルのこ
とをよく覚えていて、友達であったかのようにクレールにも話す。そしてミシ
ェルが文集に書いた詩を覚えていて、暗唱までしてみせたので、やっぱり同級
生なのか、と思う。更にミシェルの父親は引退した歯科医なのだが、ハリーは
治療してもらったことがあると言う。なので同級生には違いないようだ。でも
ミシェルにとっては正に「見知らぬ友人」なのである。
クレールはミシェルが昔詩や小説を書いていたことを知らなかった。ハリーは
才能があるのに何故作家にならなかったのかと聞くが、ミシェルはあれは少年
時代の気まぐれだと答える。しかしハリーは作家になることを強く勧めてくる。
そしてやがてハリーの一方的な親切が始まる。ハリーは親の財産を相続してい
てお金持ちだ。ミシェルの別荘は古くてかなり修理をしなければならないのだ
が、ハリーは修理代は出すから執筆活動に専念しろと言い出す。更にエアコン
つきの三菱の四駆までプレゼントするのだ。ミシェルとクレールはそんな高価
なものは受け取れないと言うが、このくらい何でもない、プレゼントさせてく
れと言う。さすがにミシェルとクレールはハリーに不審なものを感じるように
なってくる。親切が度が過ぎているのだ。
一体ハリーの目的は何なのか。自分のことを覚えていない同級生に何故そこま
で親切にするのか。ハリーの正体について、私はもしかしてミシェルの心が生
み出した分身のようなものではないかと思った。ミシェルは実は今でも作家に
なりたいと思っていて、ハリーがその気持ちを代弁しているのではないか。し
かしそう考えると疑問が出てくる。クレールはハリーを実体として認識してお
り、ミシェルの父親もハリーの治療をしたことを覚えているのだ。そうなると
ハリーはやはり実在する人間だということになる。
ハリーは何者なのか、考えれば考える程わからなくなってくる。実在するのか、
それともミシェルの分身なのか。物語はやがて恐ろしい方向へ向かっていく。
ハリーはミシェルを作家にすることで頭が一杯で、そのためには何だってする
ようになり、ミシェルもポツポツと小説を書き始める。ハリーはミシェルの意
志なのだろうか?ドミニク・モル監督は「レミング」という作品も同じように
よくわからない物語だったのだが、こういう映画を作るのが好きなのだろうか。
とにかくハリーが不気味で、よくわからないが、おもしろかった。ラストもフ
ランス映画らしくていい。
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夏のある日、田舎の別荘で休暇を過ごそうと、ミシェル(ローラン・リュカ)は
妻クレール(マティルド・セニエ)と幼い子供たちを連れて車で移動中だった。
休憩のために止まったサービスエリアで、ミシェルは高校の同級生だというハ
リー(ハロルド/セルジ・ロペス)という男性に声をかけられる。ミシェルはハ
リーのことを全く覚えていなかったが、ハリーは親し気に話をする。恋人と車
で旅行中だというハリーは、ミシェルの別荘へ行くことになる。ミシェルが卒
業文集に書いた詩に感銘を受けていたハリーは、作家になれと勧め何かと世話
を焼き出す。だがその親切はやがて狂気へと暴走し始める。
ドミニク・モル監督によるサイコ・サスペンス。フランス語教師のミシェルは
妻クレールと幼い3人の娘たちを連れて別荘に向かっていた。車にはクーラー
がついておらず、子供たちは暑さと退屈でぐずっており、ミシェルとクレール
もイライラしていた。2000年の映画なのにどうして車にクーラーがついてい
ないのだろう、と思った。そんなに古い車なのだろうか。立ち寄ったサービス
エリアで、ミシェルは高校の同級生だというハリーに声をかけられるが、ミシ
ェルは彼のことを全く覚えていなかった。けれども話をしているうちにハリー
と恋人はミシェルの別荘に行くことになる。
最初に思ったのは、ハリーは本当にミシェルの同級生なのだろうか?というこ
と。ミシェルはハリーのことをまるで覚えていないが、ハリーはミシェルのこ
とをよく覚えていて、友達であったかのようにクレールにも話す。そしてミシ
ェルが文集に書いた詩を覚えていて、暗唱までしてみせたので、やっぱり同級
生なのか、と思う。更にミシェルの父親は引退した歯科医なのだが、ハリーは
治療してもらったことがあると言う。なので同級生には違いないようだ。でも
ミシェルにとっては正に「見知らぬ友人」なのである。
クレールはミシェルが昔詩や小説を書いていたことを知らなかった。ハリーは
才能があるのに何故作家にならなかったのかと聞くが、ミシェルはあれは少年
時代の気まぐれだと答える。しかしハリーは作家になることを強く勧めてくる。
そしてやがてハリーの一方的な親切が始まる。ハリーは親の財産を相続してい
てお金持ちだ。ミシェルの別荘は古くてかなり修理をしなければならないのだ
が、ハリーは修理代は出すから執筆活動に専念しろと言い出す。更にエアコン
つきの三菱の四駆までプレゼントするのだ。ミシェルとクレールはそんな高価
なものは受け取れないと言うが、このくらい何でもない、プレゼントさせてく
れと言う。さすがにミシェルとクレールはハリーに不審なものを感じるように
なってくる。親切が度が過ぎているのだ。
一体ハリーの目的は何なのか。自分のことを覚えていない同級生に何故そこま
で親切にするのか。ハリーの正体について、私はもしかしてミシェルの心が生
み出した分身のようなものではないかと思った。ミシェルは実は今でも作家に
なりたいと思っていて、ハリーがその気持ちを代弁しているのではないか。し
かしそう考えると疑問が出てくる。クレールはハリーを実体として認識してお
り、ミシェルの父親もハリーの治療をしたことを覚えているのだ。そうなると
ハリーはやはり実在する人間だということになる。
ハリーは何者なのか、考えれば考える程わからなくなってくる。実在するのか、
それともミシェルの分身なのか。物語はやがて恐ろしい方向へ向かっていく。
ハリーはミシェルを作家にすることで頭が一杯で、そのためには何だってする
ようになり、ミシェルもポツポツと小説を書き始める。ハリーはミシェルの意
志なのだろうか?ドミニク・モル監督は「レミング」という作品も同じように
よくわからない物語だったのだが、こういう映画を作るのが好きなのだろうか。
とにかくハリーが不気味で、よくわからないが、おもしろかった。ラストもフ
ランス映画らしくていい。
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