猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

柔らかい肌

2021-11-20 21:49:04 | 日記
1964年のフランス映画「柔らかい肌」。

著名な文芸評論家ピエール・ラシュネー(ジャン・ドザイー)は、リスボンへの
講演旅行の途中で、美しいスチュワーデスのニコル・シュメット(フランソワ
ーズ・ドルレアック)と出会う。ニコルもまたピエールに惹かれ、リスボンの
ホテルで2人は関係を持つ。その日から、ピエールのスリリングな二重生活が
始まる。ピエールには妻フランカ(ネリー・ベネデッティ)と幼い娘がいたが、
2人の恋は徐々に深みにはまっていく。

フランソワ・トリュフォー監督の不倫映画。物語は新聞記事に載った実際の事
件に基づいているとのこと。文芸評論家のピエールは妻フランカと幼い娘と何
不自由ない生活を送っていた。ある日講演のためリスボン行きの飛行機に乗っ
たところ、若くて美しいスチュワーデスのニコルに心を奪われる。リスボンに
着き、ニコルとホテルが同じだと知ったピエールは何とかしてニコルと親しく
なりたいと努力し、1度は断られたものの、食事に行く約束を取り付けるのに
成功する。そしてその後2人は関係を持ってしまう。
不倫の物語だがなかなかサスペンスフルで、ちょっとヒッチコックのようなテ
イストもあり、おもしろかった。不倫が始まってからピエールはニコルのこと
で頭が一杯で、時間が不規則な仕事である彼女といかにして会おうか、それば
かりを考えている。自分の事務所でも隙あらば彼女に電話をかけ、ちょくちょ
く外出をする。よく秘書にバレないものだなあと思う。まあ男(おじさん)なん
てこういうものなのだろうな。若くて美しい愛人ができたら、彼女のことしか
頭にないのだろう。
ピエールは講演旅行にニコルを誘い、一緒に出かけるが、スケジュールが詰ま
っており、ニコルはホテルにほったらかし状態になってしまう。そんなの最初
から想像できたことだと思うのだが、どうもピエールは考えなしというか、結
局ニコルを落胆させてしまう。ニコルの「私、何しに来たのかしら」という独
り言が気の毒に思えた。それでもピエールはしつこい友人を何とか撒いて、ニ
コルとホテルを出てコテージに泊まる。やっと2人だけのホッとする時間が取
れるのだった。
しかしそんな日々は長くは続かない。講演旅行の時フランカが電話をかけたこ
とによって、浮気がバレてしまうのだ。フランカは激怒して離婚すると言い出
す。ピエールは結構詰めが甘いというか優柔不断なところがあって、ニコルと
フランカの間で困惑してしまう。それでも離婚を決め、ニコルとの結婚を考え
出すのだが、事態は思わぬ方向へ行ってしまう。もしピエールのコートのポケ
ットに写真の引換券が入っていなかったら。もし復縁を願う電話をフランカが
取っていたら。ちょっとしたボタンの掛け違いで、大変なことになってしまう
のだ。ニコルのような立場の女性ってどう考えているのか私にはよくわからな
い。今が良ければそれでいいという感じなのだろうか。3人の誰にも共感はで
きないが、なかなかおもしろい映画だった。フランソワーズ・ドルレアックの
彫刻のような美しさが印象的。


良かったらこちらもどうぞ。フランソワ・トリュフォー監督作品です。
黒衣の花嫁



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