2013年のアメリカ映画「恋するリベラーチェ」。
1977年夏、ラスベガスで出会った天才ピアニストのリベラーチェ(マイケル・
ダグラス)と青年スコット・ソーソン(マット・デイモン)は、年齢や住む世界
を超えて互いに惹かれ合う。スコットはリベラーチェの犬の世話係兼運転手兼
愛人としてリベラーチェに雇われ、彼を支え、リベラーチェはスコットの親代
わりにもなり、2人の秘められた関係は順調に続くかと思われた。しかし、薬
物への依存やマンネリ化した日々が次第に2人の間に溝を深めていく。
1950~80年代アメリカで派手な衣装やパフォーマンスで人気を博し、同性愛
者でもあった天才ピアニスト、リベラーチェの晩年を描いた伝記映画。恋人だ
ったスコット・ソーソンの回想録を原作としている。監督はスティーヴン・ソ
ダーバーグ。獣医志望の青年スコットは知人と一緒にリベラーチェのピアノシ
ョーを観に行き、その実力に感動する。そしてゲイだったリベラーチェとバイ
セクシュアルだったスコットは惹かれ合い、やがて愛し合うようになる。リベ
ラーチェは犬の扱いがうまいスコットを飼い犬の世話係、運転手、自分の話し
相手、愛人として雇い、豪邸に住まわせる。
男っぽいイメージのマイケル・ダグラスのオネエ演技は珍しくて新鮮。さすが
ベテランの演技派スターだけあってこういう役もできるんだな、と思った。マ
ット・デイモンは実年齢よりかなり若い青年役だが、違和感がないのがすごい。
こちらもさすが俳優、と思う。リベラーチェはポーランド系アメリカ人で、名
前が読めないのだが、ファーストネームの芸名はウォルターだった。彼のステ
ージはとにかく派手で華やか。衣装もプレスリーよりもっと派手。普通のピア
ニストとは違うステージを見せ、世界的に人気だったようだ。
スコットは不遇の少年時代を送り、里親のところを転々として育った。現在の
里親との関係はとても良好だったが、リベラーチェと同居するうちにセレブ生
活にどっぷりとはまっていく。リベラーチェはスコットにブランド物のスーツ
や高級車など何でも買い与えた。そしてリベラーチェは実はカツラなのだが、
スコットには気を許してハゲ頭を見せた。ラブラブのセレブ生活を送る2人だ
ったが、少しずつ綻びが生じるようになる。ある時リベラーチェは若返りの整
形手術を受けるが、スコットにも自分の顔に似せるように手術を受けさせ、ダ
イエット薬でやせさせる。スコットはリベラーチェに支配される生活に不安を
感じるようになる。
映画を観ているとリベラーチェはかなり身勝手で自己中心的な人のように感じ
た。スコットとうまくいっている時はいいけど、彼が反発し出すとあっさり捨
ててしまうというか。スコットはダイエット薬からやがてコカインに手を出す
ようになってしまう。リベラーチェは薬物をやめるように言うが、元々のきっ
かけはリベラーチェが作ったのではないかと思う。若いスコットが駄々をこね
る(リベラーチェにはそう見えた)のを、リベラーチェは持て余すようになる。
前半はラブコメという感じだが、後半はかなり重たい話になっていく。
マイケル・ダグラスとマット・デイモンの熱演は素晴らしい。特にマット・デ
イモンは、スコットって本当にあんなに辛い生活を送ったのだろうな、と思わ
せられる。リベラーチェと破局してからもスコットは色々なことがありボロボ
ロになってしまう。でもそれはリベラーチェの責任が大きいと思うし、観てい
て辛かった。それでも最後の方でリベラーチェは病床の中でスコットに「君と
過ごしていた時が1番幸せだった」と言った。それはスコットにとって救いに
なったのではないだろうか。リベラーチェがかつて「君の親であり、兄であり、
親友であり、恋人でありたい」と言っていたのは本心なのだろう。稀代のエン
ターテイナーだったリベラーチェ。ラストは切なかった。
良かったらこちらもどうぞ。スティーヴン・ソダーバーグ監督作品です。
「コンテイジョン」
「アンセイン~狂気の真実~」
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1977年夏、ラスベガスで出会った天才ピアニストのリベラーチェ(マイケル・
ダグラス)と青年スコット・ソーソン(マット・デイモン)は、年齢や住む世界
を超えて互いに惹かれ合う。スコットはリベラーチェの犬の世話係兼運転手兼
愛人としてリベラーチェに雇われ、彼を支え、リベラーチェはスコットの親代
わりにもなり、2人の秘められた関係は順調に続くかと思われた。しかし、薬
物への依存やマンネリ化した日々が次第に2人の間に溝を深めていく。
1950~80年代アメリカで派手な衣装やパフォーマンスで人気を博し、同性愛
者でもあった天才ピアニスト、リベラーチェの晩年を描いた伝記映画。恋人だ
ったスコット・ソーソンの回想録を原作としている。監督はスティーヴン・ソ
ダーバーグ。獣医志望の青年スコットは知人と一緒にリベラーチェのピアノシ
ョーを観に行き、その実力に感動する。そしてゲイだったリベラーチェとバイ
セクシュアルだったスコットは惹かれ合い、やがて愛し合うようになる。リベ
ラーチェは犬の扱いがうまいスコットを飼い犬の世話係、運転手、自分の話し
相手、愛人として雇い、豪邸に住まわせる。
男っぽいイメージのマイケル・ダグラスのオネエ演技は珍しくて新鮮。さすが
ベテランの演技派スターだけあってこういう役もできるんだな、と思った。マ
ット・デイモンは実年齢よりかなり若い青年役だが、違和感がないのがすごい。
こちらもさすが俳優、と思う。リベラーチェはポーランド系アメリカ人で、名
前が読めないのだが、ファーストネームの芸名はウォルターだった。彼のステ
ージはとにかく派手で華やか。衣装もプレスリーよりもっと派手。普通のピア
ニストとは違うステージを見せ、世界的に人気だったようだ。
スコットは不遇の少年時代を送り、里親のところを転々として育った。現在の
里親との関係はとても良好だったが、リベラーチェと同居するうちにセレブ生
活にどっぷりとはまっていく。リベラーチェはスコットにブランド物のスーツ
や高級車など何でも買い与えた。そしてリベラーチェは実はカツラなのだが、
スコットには気を許してハゲ頭を見せた。ラブラブのセレブ生活を送る2人だ
ったが、少しずつ綻びが生じるようになる。ある時リベラーチェは若返りの整
形手術を受けるが、スコットにも自分の顔に似せるように手術を受けさせ、ダ
イエット薬でやせさせる。スコットはリベラーチェに支配される生活に不安を
感じるようになる。
映画を観ているとリベラーチェはかなり身勝手で自己中心的な人のように感じ
た。スコットとうまくいっている時はいいけど、彼が反発し出すとあっさり捨
ててしまうというか。スコットはダイエット薬からやがてコカインに手を出す
ようになってしまう。リベラーチェは薬物をやめるように言うが、元々のきっ
かけはリベラーチェが作ったのではないかと思う。若いスコットが駄々をこね
る(リベラーチェにはそう見えた)のを、リベラーチェは持て余すようになる。
前半はラブコメという感じだが、後半はかなり重たい話になっていく。
マイケル・ダグラスとマット・デイモンの熱演は素晴らしい。特にマット・デ
イモンは、スコットって本当にあんなに辛い生活を送ったのだろうな、と思わ
せられる。リベラーチェと破局してからもスコットは色々なことがありボロボ
ロになってしまう。でもそれはリベラーチェの責任が大きいと思うし、観てい
て辛かった。それでも最後の方でリベラーチェは病床の中でスコットに「君と
過ごしていた時が1番幸せだった」と言った。それはスコットにとって救いに
なったのではないだろうか。リベラーチェがかつて「君の親であり、兄であり、
親友であり、恋人でありたい」と言っていたのは本心なのだろう。稀代のエン
ターテイナーだったリベラーチェ。ラストは切なかった。
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「コンテイジョン」
「アンセイン~狂気の真実~」
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