2008年のポーランド・フランス合作映画「アンナと過ごした4日間」。
ポーランドの寂れた地方都市に住む中年男性のレオン(アルトゥール
・ステランコ)は、病院の火葬場で働きながら年老いた祖母と暮らし
ていた。ある日釣りに出かけたレオンは、看護婦のアンナ(キンガ・
プレイス)が何者かにレイプされているのを目撃してしまう。急いで
警察に通報するが、犯人だと誤解されて自分が捕まってしまう。やが
て釈放されるが、レオンはアンナに恋心を抱いてしまったため、自分
の家から見えるアンナの部屋を覗き見るようになる。やがてレオンは
アンナに睡眠薬を盛って彼女の部屋に忍び込む。
イエジー・スコリモフスキ監督によるサスペンスフルな人間ドラマ。
人間ドラマと言っていいものか、何ともジャンル分けがしにくい映画
である。祖母と暮らす孤独な中年男性・レオンは、病院の火葬場で働
いている。ある日釣りの帰りに雨宿りに入った小屋で、若い看護婦の
アンナが何者かにレイプされているのを目撃する。すぐに警察に通報
するが、犯人と間違われて自分が逮捕されてしまう。アンナに恋心を
抱いてしまったレオンは、自宅の向かいにある看護婦寮のアンナの部
屋を双眼鏡で覗き見るようになる。
アンナは私から見るとそんなに美人でもスタイルがいい訳でもない。
東欧の女性ってゴツい体型の人が多いように思う。それでも普段女性
に縁のないレオンはアンナを好きになる。最初は覗いているだけだっ
たが、次第にアンナの部屋に入りたいと思うようになるレオン。祖母
が服用している睡眠薬をつぶして粉にして、アンナの部屋の窓から侵
入して砂糖のビンに混ぜる。そしてアンナが寝入ってしまってから侵
入する。アンナの部屋に入ったレオンは、取れかけている服のボタン
を縫いつけたり、部屋を掃除したりと世話を焼いて笑える。
アンナの部屋で誕生パーティーが行われた時は、アンナが寝た後部屋
に入ってパーティーのごちそうの残りを食べ、「ごちそうさま」と言
う。レオンは変態といえば変態なのかもしれないが、そこにはアンナ
への純粋な愛がある。こういう方法でしか愛を表現できないのだろう。
やがてレオンは病院の火葬場が閉鎖されることになり、職を失ってし
まう。少ない退職金をもらい、次の仕事を探す。祖母が死んだ時、家
の前で雨に打たれながらアコーディオンを弾いているシーンがとても
悲しかった。
中年男性が好きになった若い女性の部屋を覗く、というと、パトリス
・ルコントの「仕立て屋の恋」を思い出す。あちらの主人公の方がか
わいそうだったが。本作は時系列が行ったり来たりして最初少しわか
りにくかったのだが、おもしろかった。ベッドの下に入られるのは嫌
だが。看護婦寮の前に高い壁ができているシーンは衝撃的だった。レ
オンはこれからまた孤独に生きていくのだろう。「仕立て屋の恋」の
主人公もレオンも、本来は害のない孤独なおじさんなのが悲しい。
良かったらこちらもどうぞ。イエジー・スコリモフスキ監督作品です。
「エッセンシャル・キリング」
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ポーランドの寂れた地方都市に住む中年男性のレオン(アルトゥール
・ステランコ)は、病院の火葬場で働きながら年老いた祖母と暮らし
ていた。ある日釣りに出かけたレオンは、看護婦のアンナ(キンガ・
プレイス)が何者かにレイプされているのを目撃してしまう。急いで
警察に通報するが、犯人だと誤解されて自分が捕まってしまう。やが
て釈放されるが、レオンはアンナに恋心を抱いてしまったため、自分
の家から見えるアンナの部屋を覗き見るようになる。やがてレオンは
アンナに睡眠薬を盛って彼女の部屋に忍び込む。
イエジー・スコリモフスキ監督によるサスペンスフルな人間ドラマ。
人間ドラマと言っていいものか、何ともジャンル分けがしにくい映画
である。祖母と暮らす孤独な中年男性・レオンは、病院の火葬場で働
いている。ある日釣りの帰りに雨宿りに入った小屋で、若い看護婦の
アンナが何者かにレイプされているのを目撃する。すぐに警察に通報
するが、犯人と間違われて自分が逮捕されてしまう。アンナに恋心を
抱いてしまったレオンは、自宅の向かいにある看護婦寮のアンナの部
屋を双眼鏡で覗き見るようになる。
アンナは私から見るとそんなに美人でもスタイルがいい訳でもない。
東欧の女性ってゴツい体型の人が多いように思う。それでも普段女性
に縁のないレオンはアンナを好きになる。最初は覗いているだけだっ
たが、次第にアンナの部屋に入りたいと思うようになるレオン。祖母
が服用している睡眠薬をつぶして粉にして、アンナの部屋の窓から侵
入して砂糖のビンに混ぜる。そしてアンナが寝入ってしまってから侵
入する。アンナの部屋に入ったレオンは、取れかけている服のボタン
を縫いつけたり、部屋を掃除したりと世話を焼いて笑える。
アンナの部屋で誕生パーティーが行われた時は、アンナが寝た後部屋
に入ってパーティーのごちそうの残りを食べ、「ごちそうさま」と言
う。レオンは変態といえば変態なのかもしれないが、そこにはアンナ
への純粋な愛がある。こういう方法でしか愛を表現できないのだろう。
やがてレオンは病院の火葬場が閉鎖されることになり、職を失ってし
まう。少ない退職金をもらい、次の仕事を探す。祖母が死んだ時、家
の前で雨に打たれながらアコーディオンを弾いているシーンがとても
悲しかった。
中年男性が好きになった若い女性の部屋を覗く、というと、パトリス
・ルコントの「仕立て屋の恋」を思い出す。あちらの主人公の方がか
わいそうだったが。本作は時系列が行ったり来たりして最初少しわか
りにくかったのだが、おもしろかった。ベッドの下に入られるのは嫌
だが。看護婦寮の前に高い壁ができているシーンは衝撃的だった。レ
オンはこれからまた孤独に生きていくのだろう。「仕立て屋の恋」の
主人公もレオンも、本来は害のない孤独なおじさんなのが悲しい。
良かったらこちらもどうぞ。イエジー・スコリモフスキ監督作品です。
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