猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

新宿インシデント

2014-08-09 03:50:32 | 日記
2009年の香港・日本合作映画「新宿インシデント」。
1990年代の日本。座礁した貨物船から逃亡する密入国者たちの中に、ティエトウ
(ジャッキー・チェン)の姿があった。日本に出稼ぎに行って消息を絶った恋人の
シュシュ(シュー・ジンレイ)を捜しにきたティエトウは、新宿・歌舞伎町に赴き、
弟分のアージェ(ダニエル・ウー)と再会する。アージェは、ティエトウと同様に
密入国した中国人たちを集めて寄宿を結成し、小さな借家でひとつ屋根の下で
暮らしていた。アージェとともにシュシュを捜すティエトウは、あるクラブから
ヤクザ三和会系江口組組長の江口(加藤雅也)が出てくるところを目にする。
ティエトウは江口のそばにシュシュを見つける。日本にやってきたシュシュは
日本人としての戸籍を手に入れ、江口の妻となっていたのだ。
失意のままアージェの元に身を寄せたティエトウは、違法な日払い労働や偽造
カードの売買といった裏仕事をこなしていき、日本での身分を手に入れるべく
生計を立てていく。ある日ティエトウは違法労働で連行されそうになったところを
北野という刑事(竹中直人)に救われる。彼は片言の中国語で意志の疎通を図ると、
ティエトウを見逃したのだった。

ジャッキー・チェンがカンフーアクションを封印した作品である。ジャッキーの
アクションが見られないのは少々淋しいが、なかなかおもしろかった。日本に
密入国した中国人たちのその後の生活が描かれていて、興味深い。
ティエトウたちは歌舞伎町の裏社会の中で勢力を拡大していく。だがそれには
犠牲もつきものだ。アージェは暴行を受け、右手を失ってしまう。気弱だった
アージェは、それから人が変わったようになってしまい、ティエトウはそれを
悲しむ。とにかく暴力シーンが多い。裏社会の人間模様を描いた内容であり、
多くの暴力シーンがあるため、香港を除いた中国国内で上映されていないそうだ。
日本でも、ジャッキー映画としては初のR-15指定になっている。
でも、中国の映画って結構残酷なシーンがある映画も多いと思うんだけど、それ
はいいのかな。上映禁止の基準がよくわからない。
ともかく、カンフーはなくてもジャッキーはやはりかっこよかった。竹中直人や
加藤雅也もいい味出していた。ファン・ビンビンは美しく、ダニエル・ウーも
ハンサムでよかった。



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髪結いの亭主

2014-08-05 02:42:34 | 日記
1990年のフランス映画「髪結いの亭主」。
アントワーヌ(ジャン・ロシュフォール)は回想する。
12歳の夏、ノルマンディーで母の手編みの水着で遊んだことを。石鹸とコロンの
匂いに包まれた理容室、太った美人のシェーファー夫人の理容室に通って、理容師
と結婚すると決めたことを、それを告げて父に平手打ちされたことを。
中年の頃、勤めていたイジドールの理容室を譲ってもらい、1人でサロンを経営
しているマチルダ(アンナ・ガリエナ)に一目惚れし、調髪してもらったその場で
求婚したことを。ささやかな結婚式のことを。常連客や飛び込みの客が店に来る
さまを。友達も、子供も、仕事もいらない。アントワーヌにとって大切なのはこの
サロンとマチルダだけ。平穏な10年が過ぎた。

不思議な恋愛映画だ。日本で最初に公開されたパトリス・ルコント作品である。
アントワーヌは仕事をしていない。理容室で働く妻のマチルダを眺めているだけだ。
それ程にマチルダを愛しているのだ。彼は理容室とマチルダがいれば他は何もいら
ない。子供も欲しくない。ちょっと異常な感じの愛だ。でもこの映画を観ていると、
異常に見えないから不思議だ。ゆっくりと流れる時間の中で、2人は愛し合って
いる。お互いだけを想っている。その様子に、不思議と惹き込まれていくのだ。
客はアントワーヌを「ご主人」と呼ぶが、実際は店の主人ではない。ただの亭主だ。
子供の頃から夢に見た、理容師の亭主になれたのだ。こんな幸せなことはない。
静かな静かな映画だ。そして官能的で、悲しい。
アントワーヌ役の人は「列車に乗った男」にも出演していたんだな。この映画も
良かった。
「髪結いの亭主」、好きな映画だ。



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