岩山にへばりついているような洞窟住宅「サッシ」が残る町、マテーラ。平地が少なく、イタリアのグランド・キャニオンといわれる荒々しい岩肌に張り付くように住居跡が並んでいる。
洞窟をくり抜いて建てた教会や数軒毎の広場(日本の長屋の井戸端に似た)など、お世辞にも綺麗な景観とは言えない。緑の木々が無く、石ばかりが目立つ建物は、無骨で異様な圧迫感があるが、先人達の厳しい生活環境を偲ばせる。
農民の住居跡を公開している洞窟住宅を見学した。外観とは違い、内部は、窮屈ならがも暮らしやすいように色々な工夫が施されている。現代風にいうなら、2LDKタイプの家だが、何せ洞窟のこと、奥の部屋は狭く牛馬も同居していた図式を想像すると、極貧の生活だったと思わずにはいられなかった。観光気分で訪れるのが憚られるような気分になったが、今は、むしろ金持ちが快適な環境に改築して住むようになっていると聞き、救われた。