小泉首相の在任期間が戦後歴代3位の長期になった。背景には、内閣支持率が60%前後を維持し続けて来たことがあげられるが、その人気はどこから来たのか。
彼がこの5年間で行ったこと。それは、「改革」という名を借りた「破壊」から始まった。自民党をぶっ壊すと宣言し、旧経世会による自民党支配を完全に一掃。与党よりも官邸主導型の政治手法にシフトし、サプライズ人事の連続で大臣ポストも当選回数による年功序列型は消えた。それは同時に派閥の支配力を破壊した。
そして、彼が新たに作り上げたものは、ヒトラー型の独裁政治体制。昨年9月の郵政解散総選挙後の残党狩りがその仕上げだった。院政の道筋をつけ、後継者選びに焦点を当てさせ、行革法案を改革の仕上げだとうそぶくが、未解決の難問が山積したままだ。
日本の国防戦略を明確にしないまま、米軍のグアム移転費用負担問題を性急に片付けたり、中韓両国の靖国参拝批判に対し、「後悔すると思う」と開き直り発言をしたりと、まるでやる気が無いようにさえ感じられる。
6月の訪米日程に合わせ、対米外交の懸案事項だけを整理し、プレスリーの出身地を訪問するなどと悠長な考えでは、改革のキャッチフレーズのもと、高い国民の支持率に支えられた期待を裏切ることになるのだ。小泉首相の辞書には”後悔”という二文字は無いのかも。