世論形成上、メディアが与える影響力は、かつてないほど強大な現代。そのメディアを利用することを生業としているジャーナリストや評論家という人種を、我々市民は警戒すべきだ。我が国では、ジャーナリストを名乗るための特別な資格や基準は不要なので、その人の価値観を見極めないまま、鵜呑みにすると危険だ。
今回の「大連立騒動」の仕掛け人と、それを喧伝した一部のジャーナリストが「福田良い人、小沢無責任な人」に仕立てあげた。当事者の一方は、「あうんの呼吸」の一言で片付け多くを語らず、もう一方は「政権担当能力不足」「役員から不信任」と口にし、批判の集中砲火を浴びた。
参院選で大敗したにも拘らず、安倍前総理が引責辞任せず、所信表明直後に政権を放り出した無責任さが伏線だ。総裁選挙で、1ヵ月半の政治空白を作った自民党の迷走に手を貸したのが、今回の騒動のフィクサーだ。アメリカ追従一辺倒の大物が、「テロ特措法」の期限切れに業を煮やし、仕掛けた芝居だったとの憶測も飛び交う。
福田総理と小沢代表は、少なくとも、相互に信頼出来る相手と認めたからこそ、国政の停滞から脱する突破口を求めて、何度も会談を重ねたと解したい。単に、「政権交代vs連立」の構図の中で対立するのではなく、真の民主主義定着に向けての胎動と受け止めたい。今夕、小沢代表がどういった会見をするかを静かに見守りたい。