新年度にスタートした悪名高い「後期高齢者医療制度」。今日15日、いよいよ年金から保険料が天引きされると、宙に浮いた年金問題が未解決だけに、ますます混乱に拍車をかけるに違いない。
保険証が届かないとか、年金から天引きする徴収方法、或いは、周知方法に批判が集中し、さすがの福田総理も「十分な説明ができず、混乱させたことを反省している」と謝罪したが、ここに現政権の一番の問題点が凝縮されているように思える。
福田総理は、森内閣の官房長官となり、小泉内閣の二度にわたる内閣改造でも留任し、在任期間最長記録を樹立したのが2004年だ。一方、この法律が成立したのは2006年6月。退任後、表舞台から距離を置いていた間に成立した法律には無関心だった筈もあるまい。ご自身の辞任が年金未納問題だけに、保険料が年金から天引きされる痛みに敏感で良いはずなのに、、、。いずれにせよ、法律が成立してから実施までの準備期間は十分あったのに不測のトラブルが続出しているのは事実だ。
負担の公平性の観点から制度の導入は当然だと思うが、広義の社会福祉制度に関する長期ビジョンを明確にした上で、財源確保策は税体系を抜本的に見直す視点が肝要だ。そうでないと、超高齢化社会が到来し医療費が高騰すると言われても、先進国比較では「対GDPの医療費比率」では我が国は決して高くない点が納得できない。「国民の目線にたって」との総理の口癖が空虚にひびく。