12月13日、能楽発表会の幕間に、金沢現代美術館の敷地内にある松濤庵を訪ねた。加賀13代藩主斉泰が江戸・根岸に建てた隠居所を移築した茶室で抹茶を一服頂戴した。
美術館隣りにある知事公舎の老木には雪つりが施され、連なる古民家や鞍月用水は、今なお城下町風情を留めている。 美術館の東側は、石浦神社、兼六園、金沢城へと続く、金沢で最も緑の多いゾーンにあたる。 県庁跡地の整備事業を見ながら近代文学館まで足を延ばしたが、開演時間が迫ったので引き返した。授業を受けた校舎は文学館になり、講堂やプール・テニスコート等は公園になった。城内の学び舎も郊外に移転し、市電も廃止されて久しい。かつての町の景観は、時の移ろいとともにさま変わりしたが、青春時代の思い出は消えない。年輪を刻んだ感慨と寂寥感に襲われた。