左腰に違和感を覚え、二日間走るのをやめたら、体がうずうずして来たので、午後、カメラを持って散歩に出た。ジョギング・コースを歩いてみると、秋の深まりを実感した。 橋の上から青々とした柳と紅葉し始めた楓並木を見比べていたら、女子高校生に道を訊ねられた。最近、若い人と会話する機会が少なくなったせいか、柄にもなく、動揺してしまった。
一応、正確に道順を教えたつもりだったが、無事、目的地に着いたかとふと、気になった。取り立てて用事があるわけでもなく、時間を持て余していたので、途中まで案内してあげたら良かったと後悔した。
金沢の道路というのは、京都や札幌などと違って実に分かり難い。城下町特有の構造で、五差路、六差路、或いは、変形三差路・四差路などが残っている。見附や袋小路も珍しくない。長年、住み慣れた私でさえ、戸惑うことがしばしばあり、学校で習った「二辺の和は、他の一辺より長い」法則は、金沢では通用しないと、経験則で覚えた。
この話をすると、女房は決まって「単に方向音痴」だと笑う。その指摘が当たっているのも経験則で自覚しているが、癪なので、道路構造のせいにしてしまう。が、初めて金沢を訪れた人が車を走らせてみれば、私の言い訳があながち間違っていないことに気付かれるとも思っている。