2014年の初笑い・初泣き映画となったのは「麦子さんと」。初詣に出かけた時のように清々しい気分に浸れて、本当によかった。
主演の麦子を演じる堀北真希は、確かに「梅ちゃん先生」もよかったけれど、スクリーンに登場すると、がぜんその魅力が増してくる。「ALWAYS三丁目の夕日」で東北弁丸出しの六ちゃんを観た時に、この娘はなんて上手いんだろうと感心させられたが、今作でその思いは確信となった。ここまで自然体で役になりきれる若手女優はなかなかいない。
今回演じるのは、アニメショップでアルバイトをしながら、声優になることを夢見ているいまどきの女の子。父の死後は兄と二人で暮らしていたが、突然母・彩子が舞い戻ってくる。母の記憶がほとんどない麦子は彩子の行動がすべて気に入らない。「私、あなたのこと母親と思ってないから!」という決定的な言葉を投げつけてしまった数日後、母は帰らぬ人となってしまう。末期の肝臓ガンだった。
四十九日を迎え、母の故郷を訪れた麦子は始めて母の素顔を知る。何と彩子はその町のアイドルだったのだ。麦子が若い時の彩子そっくりだったので、町中の人たちが大歓迎。みんなそれぞれ人情味があって、こんな町がどこかにあったらいいなと思う。麦子も母の若き日の夢や突然会いに来たわけがわかってきて・・・。
母親の余貴美子、兄の松田龍平、母の故郷で麦子を迎え入れる麻生祐美、温水洋一らが、堀北真希をしっかり持ち上げながら、それぞれの役柄でいい味を出している。こんなハートウォーミングな作品を作り上げた吉田恵輔監督はなんと38歳!!今後の活躍が大いに楽しみだ。
(HIRO)
監督:吉田恵輔
脚本:吉田恵輔、仁志原 了
撮影:志田貴之
出演:堀北真希、松田龍平、余貴美子、麻生祐美、温水洋一、ガダルカナル・タカ ふせえり