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開幕「シネマスコープ」の文字が現れるや、何とも懐かしい映画の雰囲気。夢をかなえるためにあこがれのLAへ向かう車の渋滞の中、はやる心を表すかのように突然踊り出す若者たち。時代は50年代?それとも70年代??街の景色は今様だけれど…。観客たちをこの作品に引き込む見事な演出に期待感でいっぱいになる。“ラ・ラ・ランド”とはLAのこと。これからいったい何が起こるんだ!?
映画スタジオの珈琲ショップで働くミアは女優志願。しかし、何度オーディションを受けてもチャンスはなかなか巡ってこない。レストランでピアノを弾いて生計を立てるセブ。いつしか自分の店を持ち、大好きなジャズを思いっきり演奏するのが夢だが、店長の選曲に従わなかったためにクビになるという厳しい現実が襲う。運命の糸にひかれるかのように偶然に何度か出会った二人は、やがて恋に落ち、一緒に暮らし始めるが…。
古き良き時代のミュージカル映画を彷彿とさせる、歌あり、踊りあり。さらに現代の音楽も加えてすべてがオリジナルというこの新しい形のミュージカル映画を生み出したのは、あの衝撃作「セッション」の監督、ディミアン・チャゼル。ジャズと仏映画「シェルブールの雨傘」のファンだという彼だが、音楽やダンスだけでなくドラマの部分にも力を入れ、作品に風格を持たせたのがよかった。特に最後の回想シーンでほろりとさせるところが実にニクイ。
アカデミー賞ではエマ・ストーンの主演女優賞をはじめ、最多6部門で受賞となったが、作品賞の発表の時に前代未聞のハプニングが発生!!司会のフェイ・ダナウェイが、間違って届いた封筒だと気付かずに、「作品賞は、ラ・ラ・ラ~~ンド!!」と叫んでしまったのだ。誰もが納得の受賞と思った後で実は…、となったのだが、その後のオスカーのバトンタッチも実にドラマティックに行われたのは、さすが大人の世界。授賞式の出席者の中には、ミアとセブのような人生を送った方もいらっしゃるのでは・・・。それにしてもセブ役のライアン・ゴズリング、ピアノもダンスも3か月の特訓でマスターしたというから驚きだ。超イケメンだし、嫉妬するほどかっこいい!!
(HIRO)
原題:LA LA LAND
監督:ディミアン・チャゼル
脚本:ディミアン・チャゼル
撮影:リヌス・サンドグレン
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、J・K・シモンズ