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The Beguiled ビガイルド/欲望のめざめ(2017年アメリカ映画)

2018年03月07日 | 映画の感想・批評
 南北戦争時代、7名しかいない女性だけの寄宿学園に、足を負傷した将兵が担ぎ込まれ、女性達の絶妙に保たれていたバランスが、少しずつ狂い始めるところから物語が始まるサスペンスで、衝撃のラストは、開いた口が塞がらない、そして、考えさせられる、そんな作品であった。
 鑑賞後、ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」のリメイクであることを知った。その作品は未見の為、触れることが出来ないが、恐らく、全くの別物ではないかと想像出来る。何故なら、本作は監督がソフィア・コッポラだからである。彼女の作品は、デビュー作の「ヴァージン・スーサイド」しか観ていないが、女性しか撮れない、いいえ、ソフィア・コッポラしか撮れない映画だと思った記憶があるからである。本作品もそれと同様だと思う。全編を通して、とても繊細な映像ながらも、常に、ピリッとした一本の線が通っている緊張感が走っている。特に、前述のラストシーンは、女性の強さ(こわさ)を見事に表現していると思う。主役級がたくさん揃っている中で、特に、キルスティン・ダンストは、中年の抑えた要望とその抑えた要望が破裂した後の、高揚感や満足感が表情に出ていて、流石の一言である。黙っていても、女性の強さ、自己顕示欲が画面から、ビシビシと伝わってくる。女性は怖い(ここは「強い」ではない)なあ。
 同時期に、同性のキャサリン・ビグロー監督の「デトロイト」を観た。題材の影響もあるが、同性とは思えない演出で、ガンガン押しまくる勢いに圧倒された。う~ん、女性は神秘的である。そして、男性には、絶対に理解出来ないのであろう。
 余談だが、本作品を封切直後の週末に観たが、残念ながら空席が目立った。もう少し、ポップな邦題を付けるか、邦題に「ソフィア・コッポラの~」を入れた方が、来場者数がもう少し伸びるような気がしましたが、皆さんはどうでしょうか・・・。配給会社の皆さま如何でしょうか。それにしても、女優陣の演技だけでも一見の価値がる映画であることには間違い無い。
(kenya)

原題:「The Beguiled」
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:フィリップ・ル・スール
出演:ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル、ウーナ・ローレンス、アンガーリー・ライス、アディソン・リッキー、エマ・ハワード他