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THE INFORMER/三秒間の死角(2019年イギリス・アメリカ・カナダ映画)

2019年12月11日 | 映画の感想、批評
 FBIの情報屋としてマフィアに潜入している主人公は、最後の任務を迎えようとしていた。この任務が終わると、家族との幸せな時間が待っているのであった。裏社会の全組織壊滅を目的に、麻薬の取引現場に向かうが、想定外の事件が発生し、NY警察に追われる身となってしまう。FBIはNY警察の追跡をかわす為、強引に、刑務所内の情報を収集することを名目に、主人公を刑務所に戻すのだが、そこは、無法地帯だった。更に、FBIの裏切りもあり、絶体絶命の状況に陥ってしまうのである・・・。
 サスペンス、アクション、夫婦愛、親子愛等々、色々な要素を盛り込んで、圧倒的なスピード感で駆け抜けた印象が残る。途中からは物語に付いていくだけで精一杯であった。その中で一番優れているのはサスペンスで、冒頭からの緊迫感溢れるシーンの連続で、ハラハラドキドキが2時間ずっと続くのである。
 一方、もっと、一級のサスペンス映画として、宣伝していれば、もっとお客さんも入ったように思えるのが残念だ。公開間もない「映画の日」に観たのだが、結構空いていた。上映館が少なく、上映期間も短いのも残念。「INFORMER」という原題タイトルも邦題にした方が良かったのではないか。「INFORMER」=「情報屋」というのは直訳すぎるので、ここは、昔の作品のような邦題を期待したかった。
 話は変わって、特筆すべき点がある。それは、FBI役を演じたロザムンド・パイクである。実は、本作は、彼女が出演していることが分かって、観に行くことに決めた。組織の考えと個人の考えに挟まれ悩む複雑な表情は身震いした。大画面で観るだけでも出掛ける価値がある。特に、中盤以降の、上司とのやりとりのシーンや主人公を見守るシーン等の表情は、今でも記憶に鮮明に残っている。更に、今年は、ロザムンド・パイク大活躍の年だ。「プライベート・ウォー」「エンテベ空港の7日間」と本作の3本を観たが、いずれも良かった。端正な美貌で、眼力があって、凛とした表情(役柄もあるかもしれないが)が、特に見応えがある。是非、未見の方は、観て頂きたい。ちなみに、見逃してしまった9月6日公開の「荒野の誓い」が、来年1月、京都シネマにて公開予定とのこと。今から楽しみだ。
(kenya)

原題:「THE INFORMER」
監督・脚本:アンドレア・ディ・ステファノ
撮影:ダニエル・カッチェ
出演:ジョエル・キナマン、ロザムンド・パイク、クライヴ・オーウェン、コモン、アナ・デ・アルマス他