第2話
『秀才へっぽこ野球部にイジメと切ない初恋』
朝起きて身支度をし、とあるビルの屋上へやって来た青志。
そこへ白尾が現れる。
「感心だな。 朝練の前に自主練か?」
「監督はこんなに早くこんなとこで何を?」
「目を覚ますために歩いてたらこんなとこに来てしまった。
人は社会的な生物だから、
手っ取り早く目を覚ますには人前に出るのが一番だ。」
じゃあ、学校でと去る青志。
白尾は素振りを開始。
青志は柚子の母・楓の店へ。
柚子曰く、白尾はあそこで朝練前に素振りするのが日課だそう。
「まぁ、辛うじてうちが野球部に見えんのは白尾のお陰ですからね。
これでもしあいつがいないって考えると、あとの連中は・・・」
野球部員は練習中。
ノックをキャッチ出来ない部員たち。
その様子を見ていた青志は遂に・・・
「お前ら何部だ!!」
「野球部です。」
「おい、野球っていうのはただボールの行方を
ボ~っと見届けるためのスポーツなのか?
それの何が楽しいんだよ!!
お前らの手にはめてるそれなんだ!
使わねえんだったら外しちまえ、そんなもん!」
記者の璃子が誹謗中傷の記事になっちゃうと・・・
青志に何か目標はないのか聞くと、
だったらめざせ甲子園でと白尾。
そんな中、部員たちが岡留にケツバットやらせろと追われていて、
キャプテンである江波戸に助けを求めた。
・・・が、明らかに無視しその場を逃げ去る。
「後輩の助けを明らかに無視してるな。」
「いや、岡留が入部してからあいつ何かおかしいんですよ。」
キャッチボールし始める部員たち。
しかし投げる、落とす、拾うの繰り返し。
「なあ! キャッチボールはボールをキャッチするんじゃないのか!?
意志が欠落してるんだよ、捕る意志が!!」
白尾の進路調査に『メジャーリーガー』としか
書かれていないのを見た青志。
白尾に聞くと、野球に集中するために
今学期から勉強もやめたと言い出した。
スカウトマンは学校を見てるんじゃなく選手を見てるからいいんだと。
強い高校と対戦して自分が目に留まればいいとのこと。
部室でミーティングをする野球部。
週に1回しかグラウンドを使えないのだから
実践的なトレーニングをした方がいいと青志。
しかし筋トレも重視したい白尾。
「でも、こいつらはまだまだ体力作りが必要です。
赤岩なんて未だに懸垂も出来ないし。」
「いや、お前そんなこと言ったら江波戸なんて腹筋5回しか―」
「ちょっと待ってよ、だったら樫山なんて―」
「もういいよ! 出来ないことより出来ることを教えてくれ。」
「すいません。」
各々ポジションに合ったトレーニングをした方がいいと青志。
みんなにポジションを聞くが・・・
バリエーションに富んだポジショニングだった。
その日のコンディションで白尾が決めていたとのこと。
キャプテンを江波戸にしたのも白尾で、
自分は選手に専念したいからとの理由だった。
このままじゃダメだと、取り敢えずポジションを決めることにする。
「今日の練習はお前たちのポジションを決める上でも
重要な判断材料となるものだ。
センター試験のつもりで死ぬ気でやれ!!」
「はい!!」
結果発表。
投げ方が安定している → 赤岩
そこそこ安定している → 江波戸・亀沢・樫山・光安
それ以外 → 岡留・牛丸・志方・伊勢田
「(上から)ピッチャー、内野、外野。 はい、以上。」
ざっくりした発表に部員たちは不満気。
中でも白尾が一番不満があり、不信感も。
再びミーティング。
「確かに俺が具体的に指名したポジションはピッチャーだけだ。
だから、あとのポジションはお前たちに立候補してもらいたい。」
「じゃあ、自分たちで決めていいんですか?」
「いいよ。」
しかしいざ決めるとなると自分たちがどこに向いてるのか分からない。
今まで通り野球を知っている白尾に決めてもらった方がと言い出す。
「そうやって、またお前たちは“僕はライトです”とか
“僕はレフトです”とか名乗るのか?
なんかさぁ、お前たちと話をしてると“僕は”とか“俺は”ばっかりで、
誰一人“俺が”と言い出さない!
いや、俺はさ、お前たちから“は”じゃなくて“が”が聞きたいんだよ。
だってそうだろ?
“僕はライトです” “俺がライトだ~!”
どうだ? 全然違うじゃないか。」
「それ、言い方だけな気が・・・」
「いや、そうじゃないんだよ。
“は”には、こう、どっか他人事っぽいニュアンスがあるじゃないか。
“どうやら俺はライトみたいです”って感じがするだろ?
でも、それが“が”に変わった瞬間に
他人を押しのけて名乗るようなアグレッシブな感じがあるんだよ。
“は”じゃなくて“が”にはそういう言い方をしたくなる。
つまり・・・そういう気持ちにさせてくれる力があるんだよ。
だから、これからはお前たちには“は”じゃなくて
“が”を使ってもらいたい。
常に自分が主役だと思え。
俺が俺がでいいんだよ、野球は。」
納得した部員たちは自らポジションを言っていく。
その時、遠慮がちに江波戸がキャッチャーをやると言った時、
今まで黙っていた白尾が口を挟んだ。
「キャッチャーはチームの要だぞ。
野球を知り尽くしてる上に強肩じゃなきゃ務まらない。」
「そんなのうちのチームのどこにいるんだよ。」
「そりゃいないけど・・・でも江波戸なんかじゃ―」
「しかも、お前が今言ってるのは普通の野球のセオリーだ。
そんなの普通以下の城徳にはなんの役にも立たない。」
だから少しでも普通に近づこうとしていると言う白尾に、
別に普通にならなくてもいいと青志。
とうとう白尾は部室を飛び出した。
白尾は部活に来なくなり青志がノックをする。
が、やはり誰もキャッチ出来ずガックリ。
「どうして捕らない。
なんで俺が疲れてんだよ。 これなんの練習なんだよ!
誰か1人ぐらい監督が可哀想だとかそう思う奴はいないのか?」
そんな中、岡留が投げたボールから
江波戸が逃げ回る様子を見ていた青志。
「何やってんだ? あいつら。」
そんな青志に牛丸が声をかけた。
江波戸を呼び出した青志。
「お前、岡留にイジメられてたのか?
牛丸から聞いたんだ。
あいつ、お前らの中学の後輩だろ?」
「はぁ・・・」
「で、どうなんだ? ホントなのか?」
「中学の間だけですけど・・・まぁ・・・そうです。」
中学時代、岡留の子分のような立場で、
買い物に行かされたり、プロレス技をかけられたりしていた。
「先生の仰るように俺がとは言えない性格でしたから、
付け入る隙を与えた自分が悪いんです。」
「なんでお前が反省してんだよ。」
「いや、でも思い返すたびにそう思うんです。」
「思い返さなきゃいいじゃないか。」
「そんな・・・無理ですよ。」
「お前・・・めんどくさいな。
いや、だからキャッチャーを選んだのは正解だったんだよ。
あそこは次々にボールが飛んでくるから思い返す暇はない。」
「なるほど。」
「それから江波戸、お前これから一切反省をするな。」
「えっ!? 反省を?」
「そんな驚くことか!?」
「すいません。 これまで何をするにも反省から入っていたもので。」
「言ってるそばから反省をするなよ。」
「あ、すいません・・・違います・・・反省はしてません・・・はい。
反省はもうしません。」
「とにかく、岡留は俺の方でなんとかするから、
お前は気にせず、反省せず、のびのびやれ。」
「分かりました。」
部室。
「と言うことだから、岡留、退部してくれ。」
岡留は怒り、柚子は辞めればいいと言うが、赤岩は・・・
「監督、岡留を辞めさせたところで
根本的な解決にはならないと思うんですよ。
だってほら、学校では確実に会うんだし。」
「あ~、もう! じゃあ、こうしよう。
岡留、これからお前は暫く江波戸に近づくな。
周りの奴らも警戒を怠るなよ。
2人が接近しそうになったら必ず隔離すること。」
「暫くっていつまでですか?」
「それはお前次第だよ。
江波戸がお前を恐れなくなるまでだ。」
次の問題は白尾。
野球の強豪だった中学にいた白尾が
堂学のスカウトを蹴って何故城徳に来たのか。
青志は何かに気づいた様子。
白尾が部活に来てないと赤岩と柚子。
きっとまたあのビルの屋上だろうと迎えに行くところだったが、
青志が行くと言う。
赤岩も行くと青志の制止を拒否。
柚子も行くと言うが、お前は絶対来るなと青志。
ビルの屋上では白尾が素振りをしていた。
「白尾さ、お前柚子のこと好きなんだよな?」
「えっ?」
「好きです。」
「えっ!?」
一緒に来ていた赤岩の方がビックリ。
「中学の時からか。」
「そうです。」
「堂学のスカウトを断ってまで城徳に入学したのも柚子の―」
「そうです。」
白尾が初めて柚子と出会ったのは
恒例の城徳と堂学の親善試合だったと。
一度も勝ったことがない城徳を応援する柚子を見て、
白尾は城徳に入ることを決めたよう。
柚子が赤岩を好きなことも解かってるし、
それで赤岩を恨む気もないと。
柚子の笑顔が見たくて甲子園を目指しているらしい。
「今の野球部に戻っても監督のやり方じゃ行けません。
樽見の悲しむ顔を見たくて城徳に来たんじゃないんです。」
「お前の気持ちはちょっとよく分からんけども、
俺が弱くても勝てるって信じてんのは、あれ本当だぞ。」
「だったら、それなりのやり方をして欲しいです。」
「やってるよ。 やってるって。」
翌日、グラウンドで練習。
白尾が久し振りに部活にやって来たが・・・
「俺が戻る代わりに田茂先生・・・監督辞めてくれますか?」
「じゃ、辞めよう。」
部員たちは呆気に取られてる。
「ただし、俺を辞めさせるにはひとつ条件がある。
俺のやり方が間違っているってお前が証明出来たらだ。」
勝負は3球。
青志がポジションを決めたチームを打ち破って
白尾がホームランを打ったら白尾の勝ち。
「待って下さい。
それじゃあ、単なる俺と白尾の勝負です。」
「大丈夫だよ。 ランニングホームランだってあるんだから。」
「えっ!?」
「だったら楽だ。 ゴロでも外野を抜ければ回って来れる。」
「監督!!」
「なんだよ、伊勢田!」
「予め言っておきます。
僕のところに飛んで来ても捕れません!」
「それはつまり自分の所に
打球が飛んで来て欲しくないってことなのか?」
「そうです。」
「来て欲しくなければそれでいい。
来いも来るなも等しく強い気持ちには違いない。
だから心の底から打球が来て欲しくないんだったら
思いっきり“来るな!”って叫べばいい。
それは自ら勝負を仕掛けたことになる。」
納得する部員たちは各々「来るな~!」と叫ぶ。
1球目はファウル。
「監督!!」
「なんだよ、樫山!」
「ダメです。 やっぱり僕は捕れません!」
「お前、また“僕は”って言ったな。」
「あっ・・・」
「“僕が”だよ! 僕が捕る! いや、俺が捕る!
俺が俺がでいいんだ野球は。
常に自分を主役と思え。
そんなの今しか言えないぞ。
これ大人になったてから言ったら嫌われるからな。
俺が俺がは今だけなんだよ。」
途端にみんな「俺が捕る」と言い出した。
「赤岩、お前が投げないんだったら俺が投げるぞ。」
「俺が!投げます。」
2球目、白尾が打った先にはセンター岡留。
エラーするも江波戸が「ドンマイ」と叫ぶ。
するとみんなで「ドンマイ」と。
ラスト3球目。
白尾の打った球はホームランになり青志の負け。
「辞めないで下さい、監督。」
「絶対辞めないで!!」
「そうよ、これじゃあ連載が・・・」
「じゃあ、今の勝負は一体なんだったんだよ。」
「それはそうですけど・・・」
「だったら俺が辞めればいい。
監督に不満持ってるのは俺だけなんだから。」
その時、突然、江波戸が「俺が俺が」と叫んだ。
「ダメだよ、白尾、辞めるな。」
「えっ?」
岡留が江波戸の横に来て言う。
「おい、白尾。 江波戸の言うことには従えよ。」
「なんでだよ。」
「決まってんだろ! それはこいつがキャプテンだからだよ!!」
「ああ・・・そうだ・・・俺がキャプテンなんだ。
キャプテンの俺が辞めるなって言ってんだ!!」
みんなが笑ってる。
白尾も笑う。
「もう、どっちでもいいよ。
折角グラウンドが使えるんだ。 時間が勿体無い。」
ノックをし始める白尾と守備につく部員たち。
今回も面白かったね。
青志のちょっと抜けた感じの教えがいい。
まんまニノって感じもするけど(笑)
白尾は野球に詳しいのは自分しかいないから、
今まで監督業まで背負ってきちゃったんだね。
それを急に青志がやり始めたから、
上手いこと切り替えが出来なかったんだろうな。
でも城徳に普通を求めちゃダメだよ。
そんなレベルじゃないんだから(笑)
江波戸と岡留は取り敢えず決着ついた。
岡留は江波戸にそこまで傷を負わせてると
思ってなかったんだろうね~。
やった方よりやられた方が覚えてるってことだ。
でね、あたし、やっぱり違和感あるの・・・海老蔵に・・・(-_-;)
なんか違う。 なんか違うんだよな~。
まぁ、今更キャスティング変えれないし仕方ないか。
第1話