今月1日、サウジアラビアで行われた試合結果です。
ヘビー級戦(12回戦):
前WBO暫定王者張 志磊(中国)TKO5回1分51秒 元WBC王者ディオンティー ワイルダー(米)
*張は今年3月に、ワイルダーは昨年師走にジョセフ パーカー(ニュージーランド)に敗れており、お互いにその敗戦からの再起戦となりました。しかし両者の現在の勢いには天と地ほどの差があり、また、両者の体格(体重)差がもろに試合に反映される結果となってしまいました。
ワイルダーはかつてWBC王座に君臨し、強豪たちを相手に10連続もの防衛に成功した強者でした。しかし2020年2月にタイソン フューリー(英)に王座を敗れて以降1勝(1KO)2敗(1KO負け)と、明らかにそのキャリアは下降線を辿っていました。対する張はパーカー、そして同じ興行に出場したフィリップ フルコビッチ(クロアチア)に敗れるも、いずれの黒星も僅差の判定負け。その2つの敗戦で評価を落とすことはありませんでした。
ここ最近の勢いに加え、両者の対格差にも大きな開きがありました。282.8ポンド/128キロの張に対し、ワイルダーのそれは僅か214.6ポンド/97キロ。張、ワイルダーともにヘビー級選手ではありますが、世界の頂上で戦う選手の体重差がここまで開くというのも珍しいですね。
それに加えて張はただでかいだけでなく、確かな技術を持った選手。以前より「パンチのみ」で勝ってきたと比喩されていたワイルダーは初回から厳しい試合を強いられることになりました。時折その強打中国人に迫るワイルダーでしたが、現行の張相手にほとんど効果なく。逆に時間を追うごとに苦しい展開へと追い込まれていきました。
迎えた5回、張の強打の餌食となってしまった元WBC王者。ダウンを喫し万事休す。全盛期の面影なく敗れてしまいました。年齢では38歳と張より3歳若いのですが、実際の年齢には反映されない衰えが忍びよっているようです。ワイルダーの世界最前線への再浮上はむずかしいでしょう。
ヘビー級戦(12回戦):
前WBAレギュラー王者ダニエル デュボア(英)TKO8回57秒 IBF1位フィリップ フルコビッチ(クロアチア)
*実力で世界1位まで登ってきたフルコビッチと、第2のWBA王座ながらも、一度は世界ヘビー級王者となったデュボアの対決。一進一退の攻防が続く中、英国人が反則すれすれの第3のパンチ(頭)を上手く利用しフルコビッチを追い詰めていきます。
結局は両目じりを負傷したフルコビッチは試合継続を許されず。少々荒っぽくではありましたが、デュボアが暫定ながらも再び世界のベルトを獲得する事に成功しました。
どんどんと世界王者が増えていく感のあるヘビー級戦線。下記は2024年6月11日現在の、最重量級の王者たちとなります。
WBA(スーパー):オレクサンデル ウシク(ウクライナ/防衛回数3)
WBA(レギュラー):マヌエル チャー(独/0)
WBC:オレクサンデル ウシク(ウクライナ/0)
IBF:オレクサンデル ウシク(ウクライナ/3)
IBF(暫定):ダニエル デュボア(英/0)
WBO:オレクサンデル ウシク(ウクライナ/3)
WBO(暫定):ジョセフ パーカー(ニュージーランド/0)
OPBF(東洋太平洋):ジャスティン フニ(豪/1)
WBOアジア太平洋:ウラジスラフ シレンコ(ウクライナ/0)
日本:但馬 ブランドン ミツロ(KWorld3/1)