勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

東京家族

2013-01-28 23:36:53 | Weblog
 ヒューマニズムを描かせたらこの人の右に出るものはいないと思っている監督がいる。あの『男はつらいよ』シリーズの山田洋次監督である。この人の映画を見終わったとき、なんともいえない人の温もりとやさしさが心に迫ってくる。

 『幸福の黄色いハンカチ』では、ハラハラドキドキさせられたラストに、ホッと胸をなでおろす演出がある。『息子』では、老父と、優秀な兄とは反対に気ままに生きるダメな弟との確執と和解を描く。ある日上京した父親は、弟の頼りないが心の優しさに触れ、安心してひとり雪深い山村に帰る。そこに、あの名画『エデンの東』を彷彿とさせる親子愛を見た。『遥かなる山の呼び声』は、タイトルでもわかるように、あの西部劇の名作『シェーン』のリメイクである。この映画では舞台を北海道に移し、シェーンでは描かれない、胸が熱くなるほどのヒューマニズムに溢れたラストに感動させられた。吉永小百合さん主演の『母べえ』だけは後味が悪く、あまり好きになれない映画だったが。。。


 「自分より上手い人の真似をすることを躊躇うな」は、レオナルド・ダヴィンチの言葉だということを、山田洋次監督が言っていた。世界的に権威ある「映画監督が選ぶベスト映画」で、世界中の映画の中から1位に選ばれた、小津安二郎監督の『東京物語』を現代に置き換え、山田流に描いた話題の映画『東京家族』を観て来た。

 どこにもあるような親子と、それぞれの家族の話であるが、前半のそこに繰り広げられる当たり前の日常生活は、少しばかり退屈でもあり、あまり混んではいない映画館の、我が座席のすぐそばでは、鼾さえ聞こえてきた。しかしそれは物語後半への導入部であった。母親の突然の死からそれぞれの人間模様が淡々と描き出されながら、その死が教える切なさと、ある種の幸福感と、希望に満ち心がやさしくなれるラストへの展開は、山田洋次監督の真骨頂でもある。「今夜は、おふくろに電話でもしようかな」と思わせる映画だと『東京家族』のパンフレットにあった。

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8 コメント

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今晩は (コスモス)
2013-01-29 19:58:08
この映画是非見たいのです。
近くで上映してますので
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★春風 (勿忘草)
2013-01-29 21:35:56
◆家族(コスモスさん)

この映画はどこにもあるような
普通の家族を描いていますが
家族とは、親子とは、そして老後などなど
考えさせられる話です。
でも、見終わった時、
春のような暖かい風が吹いてくるようでした。
是非カラスさんと一緒にご覧ください。
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こんばんは  (バジル)
2013-01-29 22:03:36
山田洋次監督、何本かの『男はつらいよ』シリーズを見ました。
同じものをテレビでも放映されてたりするとまた見ています。
何回みてもやっぱり心がほんのりと安らいできます。
『東京家族』ですか?
北海道ではやってるのかな?
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★やさしさ (勿忘草)
2013-01-29 22:13:45
◆監督50周年記念作品(バジルさん)

山田洋次監督の映画はどの映画も
見終わった後の爽やかさが特徴です。
この映画は札幌では
札幌シネマフロンティア
ユナイテッド・シネマ札幌
の2館で上映されているようですよ。
ご家族でご覧になるといいかも。。。
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おはようございます。 勿忘草さん (バジル)
2013-01-30 07:53:11
札幌でも上映されてるのですね。
札幌シネマフロンティアは札幌駅にあります。
娘を連れて行ってみようと思います。
ありがとうございます。
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★札幌 (勿忘草)
2013-01-30 10:53:49
◆上映(バジルさん)

ニッコリしたり、ホロリとしたり、そしてホッとしたりの
山田洋次監督の世界に浸ってください。
妻夫木聡さんの演技がいいですよ♪
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東京物語 (正子)
2013-01-30 18:30:02
昔小津安二郎監督の今回の映画の
元の作品をみました。笠智衆?さん
東山千恵子?さんの演技に感激した事でした。
尾道の景色が気に入り、実際に尾道に
旅行もして来ました。
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★名監督 (勿忘草)
2013-01-30 23:17:49
◆尾道(正子さん)

笠智衆さん、名優ですね。
あの朴訥としたしゃべり方が好きです。

僕は小津さんの「東京物語」は見てないんです。
機会があったら是非見たいと思っています。
世界一と評された「東京物語」を見て
この「東京家族」が、どのようにリメイクされたのかも見たいし
比較もしてみたいと思います。
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