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極刑囚は、いつ自分の執行が行われるか、針のむしろに座る思いで毎日を過ごしている。
夕方、食事の時間に鑑雑が食事を配布する食器の音を聞くと、ホットする。 その日一日は自分の命が永らえたことに、安堵を覚える。 しかし、次の日はどうなるかは解らない。
拘置所内では、極刑囚だけはペットのインコを飼うことを許されている。 命を慈しみ、生き物をかわいがる事を教え、命の重さを解らせるためである。 しかし、自分の執行の当日、自分が飼っていたインコをかごから出して逃がしてやる。 それはまるで、自分の命を飛んでゆくインコに託すかのように。
居房から出された谷山康夫は、舎房西側の出口から連れ出され、普段は誰も通らない、西側の階段を下り、一階の一番奥の棟屋に連行される。 鍵を開けて入ると、そこは壁際に仏壇があり、その横に教戒師が立っていた。 教戒師は谷山康夫の顔を見ると言った、「お別れですね、此処で仏様に手を合わせてください。」 谷山康夫が何か言おうとしたが、口をぱくぱくしているだけで、声にはならなかった。
「何か言い残すことは有りませんか。」
合わせていた手を下ろした谷山康夫に、教戒師が抑揚のない声をかけたが、谷山は茫然自失したような顔をして、教戒師の顔をを眺めただけだった。
連行職員が谷山康夫の両手に、後ろ手錠をかける。 谷山の手首に、ヒヤリと冷たい感触があたった。 同時に他の職員が、谷山康夫に目隠しを施すと、後ろのアコーディオンカーテンが開けられた。 カーテンの向こうは、太いロープが下がった執行室であったが、すでに谷山康夫の目には入らない。
死刑執行室には、拘置所長、管理部長、保安課長、警備隊長、検察事務官(本来は検察官と規定があるが、実際には検察事務官が立ち会う)裁判所事務官(これも本来は裁判官となっているが、実際には事務官が立ち会う)が立会人として傍らに息を潜めて並んでいた。
部屋の中央には、二人の刑務官が待機している。 一人は、降下式の床の所まで歩いてきた谷山康夫の首にロープをかける係り、もう一人は、谷山の両足に手錠をかける係りであった。
谷山康夫は、目隠しをかけられて、後ろを向かされ両側から、連行の職員に支えられるように、死出への一歩を踏み出した途端に、腰が砕けて歩けなくなった。
谷山康夫が教戒師に言われて、仏壇に手を合わせたその場から、死刑の執行が行われる降下式床の所まで、約6メートル。 この6メートルが、谷山康夫には、とてつもなく長く、そして又とてつもなく短い物に感じられた。
谷山康夫が仏壇の前で手を合わせたときから、谷山が犯した犯罪の全てが、拘置所職員の手によって読み上げられていたが、谷山の耳にはそれすら入らなかった。
『俺が最初に人を殺したのは、中学二年生の時だった。』
『ある日、学校から帰ると、女手一つで必至で俺を育ててくれた母親に、男がまたがっていた。』
『男に乗られている母親は、苦しそうな声を上げていた。』
『何も解らなかった俺はとっさに、母親を助けようと、側にあった鉄アレイで、男の後頭部を力任せに殴りつけた。』
『あのときは、ガツンと言う重い手応えと、すぐその後に、グシャッと言うつぶれるような手応えがあった。』
『男は何も言わずその場で崩れたが、男の頭から流れ出た真っ赤な血が、新鮮でとても綺麗だった。』
『その時は、子供だと言うことで、保護観察処分になっただけだった。』
『次に俺が人を殺したのは、それから半年後だった。』
『その当時、母親が何をしていたかを、同級生の話から知った俺は、女というものに、セックスというものに、興味を持ち、俺もやりたいという衝動を押さえることができなかった。』
『その機会は意外に早く来た。』
『学校の帰り、俺の前方を一人の女が歩いていた。』
『見ると、同級生の女だった。』
『その同級生の女の子を、ナイフで脅し山に連れ込んだ。』
『山の奥深くまで入ると、女は泣いていた。』
『そこで、女の服を下着まで切り裂いた。』
『女は、俺がナイフを使うたびに、怯えて体をびくっと、震えさせた。』
『女の体は、胸も未だ固くて、形良くとがって未成熟だったが、すばらしく綺麗な物だった。』
『俺は思わず、その女の胸に飛びつき、聞きかじりで得た知識で、夢中で女の乳首をなめ回した。』
『そのうち、女の小さな乳首は、コリッと堅くなり、突きだしてきた。』
『俺は女の、足の間に自分の体を入れ、慌ててズボンを脱ぎ、堅くなった物をとにかく、女の股ぐらに当てた。』
『あのころは俺も若かったなあ。何処に入れれば良いか。どうすれば良いか、解らずに、とにかく女の股ぐらに自分の堅くなった物を当てて、腰を動かした。』
『そのうちに、どうした拍子にか、俺のペニスが、女の中に進入した。』
『女の中は暖かく、そして堅く、俺の未だ成熟しきらないペニスでさえ、きついくらいだった。』
『女の中に挿入した俺は、有頂天で二度三度腰を動かしただけでいってしまった。』
『あのとき俺は、女の中に小便が出たと思った。』
『これも後で知ったことだが、あれが精液と言うものとは、そのときは全く知らなかった。』
『女から体を離した俺を見て女は、親と先生に言う、と大きな声で泣き出した。』
『俺は思わずその女の首に手をかけ、両手で絞めた。』
『力任せに絞めたら、親指の当たりでゴツッと何かが折れるような、つぶれる感じがあった。』
『後で知ったことだが、あれは舌骨が折れたものらしい。』
『そして、女は裸の体を痙攣させた。』
『その痙攣が次第に収まるまで、俺は女の首を絞めた手に力を込めていた。』
『その時は、自分がしたことがばれないようにと思い、夢中だった。』
『女の体の痙攣が収まり、人間が単なる物体に変わったとき、俺は震えていた。』
『命を俺の手で絶った事の興奮に。』
『何とも言われぬ快感が体中に走った。』
『その後しばらく、自分が殺してすでに物体となった女の亡骸を眺めていた。』
『亡骸は近くに穴を掘って埋めたが、これは未だかって発見されてないし、俺がやったとは誰も思ってない。』
『次は、四ヶ月後の事だが、又女とやりたくて悶々としていたとき、十歳くらいの女の子が公園で一人で遊んでいるのに出会った。』
『元々幼顔だった俺は、同じくらいの歳の子のような振りをしてその子に近づき、まんまとひと気のない山の方へ連れ出した。』
『しかし、このときは参った。』
『いざ服を脱がせ始めると、帰るといって泣き出した。』
『ナイフを使って、脅したが相手が小さすぎたのだろう。』
『怯えて、ますます泣き出した。』
『腹を立てた俺は、思わず側にあった拳大の石を拾って、女の子の頭を殴りつけた。』
『女の子はそれで動かなくなった。』
『その後、ゆっくり服を脱がせると、未だ胸も膨らんでなかった。』
『女の子の小さな足を広げて覗いてみると、そこには小さな割れ目があった。』
『そこに、俺のペニスが入るかどうかは解らなかったが、いきり立ってどうにもならなかった俺は、自分のペニスを小さな割れ目に無理矢理突き立てた。』
『最初はなかなか入らなかったので、唾を付けてねじ込む様に挿入した。』
『女の子のそこは、堅くて痛い位だったが、そのまま夢中になって腰を動かしてた。』
『その途中に、女の子が目を覚まし、火がついたように泣き出した。』
『女の子が、目を覚ましたのを知らなかった俺は、いきなり大声で泣き出されて慌てて、口を押さえ、そして未だ下半身でつながったまま、女の子の細い首を絞めた。』
『女の子の舌骨は小さかった。』
『ゴツっと言う音がして簡単に折れた。』
『あの独特の感触を残して。』
『女の子の体が痙攣し始めたとき、俺は不思議な感覚にとらわれた。』
『断末魔の痙攣の時、未だ女の子の中に入ったままの俺のペニスを、強く握るように締め付けてきた。』
『それが、えも言われぬ快感だった。』
『女の子の舌骨が折れ、自分の手の中で痙攣しながら死んでゆく一つの命を見る快感と、痙攣の度に自分のペニスを締め付けてくる快感が合わさって、俺は恍惚として射精していた。』
つづく
2005.03.31
極刑囚は、いつ自分の執行が行われるか、針のむしろに座る思いで毎日を過ごしている。
夕方、食事の時間に鑑雑が食事を配布する食器の音を聞くと、ホットする。 その日一日は自分の命が永らえたことに、安堵を覚える。 しかし、次の日はどうなるかは解らない。
拘置所内では、極刑囚だけはペットのインコを飼うことを許されている。 命を慈しみ、生き物をかわいがる事を教え、命の重さを解らせるためである。 しかし、自分の執行の当日、自分が飼っていたインコをかごから出して逃がしてやる。 それはまるで、自分の命を飛んでゆくインコに託すかのように。
居房から出された谷山康夫は、舎房西側の出口から連れ出され、普段は誰も通らない、西側の階段を下り、一階の一番奥の棟屋に連行される。 鍵を開けて入ると、そこは壁際に仏壇があり、その横に教戒師が立っていた。 教戒師は谷山康夫の顔を見ると言った、「お別れですね、此処で仏様に手を合わせてください。」 谷山康夫が何か言おうとしたが、口をぱくぱくしているだけで、声にはならなかった。
「何か言い残すことは有りませんか。」
合わせていた手を下ろした谷山康夫に、教戒師が抑揚のない声をかけたが、谷山は茫然自失したような顔をして、教戒師の顔をを眺めただけだった。
連行職員が谷山康夫の両手に、後ろ手錠をかける。 谷山の手首に、ヒヤリと冷たい感触があたった。 同時に他の職員が、谷山康夫に目隠しを施すと、後ろのアコーディオンカーテンが開けられた。 カーテンの向こうは、太いロープが下がった執行室であったが、すでに谷山康夫の目には入らない。
死刑執行室には、拘置所長、管理部長、保安課長、警備隊長、検察事務官(本来は検察官と規定があるが、実際には検察事務官が立ち会う)裁判所事務官(これも本来は裁判官となっているが、実際には事務官が立ち会う)が立会人として傍らに息を潜めて並んでいた。
部屋の中央には、二人の刑務官が待機している。 一人は、降下式の床の所まで歩いてきた谷山康夫の首にロープをかける係り、もう一人は、谷山の両足に手錠をかける係りであった。
谷山康夫は、目隠しをかけられて、後ろを向かされ両側から、連行の職員に支えられるように、死出への一歩を踏み出した途端に、腰が砕けて歩けなくなった。
谷山康夫が教戒師に言われて、仏壇に手を合わせたその場から、死刑の執行が行われる降下式床の所まで、約6メートル。 この6メートルが、谷山康夫には、とてつもなく長く、そして又とてつもなく短い物に感じられた。
谷山康夫が仏壇の前で手を合わせたときから、谷山が犯した犯罪の全てが、拘置所職員の手によって読み上げられていたが、谷山の耳にはそれすら入らなかった。
『俺が最初に人を殺したのは、中学二年生の時だった。』
『ある日、学校から帰ると、女手一つで必至で俺を育ててくれた母親に、男がまたがっていた。』
『男に乗られている母親は、苦しそうな声を上げていた。』
『何も解らなかった俺はとっさに、母親を助けようと、側にあった鉄アレイで、男の後頭部を力任せに殴りつけた。』
『あのときは、ガツンと言う重い手応えと、すぐその後に、グシャッと言うつぶれるような手応えがあった。』
『男は何も言わずその場で崩れたが、男の頭から流れ出た真っ赤な血が、新鮮でとても綺麗だった。』
『その時は、子供だと言うことで、保護観察処分になっただけだった。』
『次に俺が人を殺したのは、それから半年後だった。』
『その当時、母親が何をしていたかを、同級生の話から知った俺は、女というものに、セックスというものに、興味を持ち、俺もやりたいという衝動を押さえることができなかった。』
『その機会は意外に早く来た。』
『学校の帰り、俺の前方を一人の女が歩いていた。』
『見ると、同級生の女だった。』
『その同級生の女の子を、ナイフで脅し山に連れ込んだ。』
『山の奥深くまで入ると、女は泣いていた。』
『そこで、女の服を下着まで切り裂いた。』
『女は、俺がナイフを使うたびに、怯えて体をびくっと、震えさせた。』
『女の体は、胸も未だ固くて、形良くとがって未成熟だったが、すばらしく綺麗な物だった。』
『俺は思わず、その女の胸に飛びつき、聞きかじりで得た知識で、夢中で女の乳首をなめ回した。』
『そのうち、女の小さな乳首は、コリッと堅くなり、突きだしてきた。』
『俺は女の、足の間に自分の体を入れ、慌ててズボンを脱ぎ、堅くなった物をとにかく、女の股ぐらに当てた。』
『あのころは俺も若かったなあ。何処に入れれば良いか。どうすれば良いか、解らずに、とにかく女の股ぐらに自分の堅くなった物を当てて、腰を動かした。』
『そのうちに、どうした拍子にか、俺のペニスが、女の中に進入した。』
『女の中は暖かく、そして堅く、俺の未だ成熟しきらないペニスでさえ、きついくらいだった。』
『女の中に挿入した俺は、有頂天で二度三度腰を動かしただけでいってしまった。』
『あのとき俺は、女の中に小便が出たと思った。』
『これも後で知ったことだが、あれが精液と言うものとは、そのときは全く知らなかった。』
『女から体を離した俺を見て女は、親と先生に言う、と大きな声で泣き出した。』
『俺は思わずその女の首に手をかけ、両手で絞めた。』
『力任せに絞めたら、親指の当たりでゴツッと何かが折れるような、つぶれる感じがあった。』
『後で知ったことだが、あれは舌骨が折れたものらしい。』
『そして、女は裸の体を痙攣させた。』
『その痙攣が次第に収まるまで、俺は女の首を絞めた手に力を込めていた。』
『その時は、自分がしたことがばれないようにと思い、夢中だった。』
『女の体の痙攣が収まり、人間が単なる物体に変わったとき、俺は震えていた。』
『命を俺の手で絶った事の興奮に。』
『何とも言われぬ快感が体中に走った。』
『その後しばらく、自分が殺してすでに物体となった女の亡骸を眺めていた。』
『亡骸は近くに穴を掘って埋めたが、これは未だかって発見されてないし、俺がやったとは誰も思ってない。』
『次は、四ヶ月後の事だが、又女とやりたくて悶々としていたとき、十歳くらいの女の子が公園で一人で遊んでいるのに出会った。』
『元々幼顔だった俺は、同じくらいの歳の子のような振りをしてその子に近づき、まんまとひと気のない山の方へ連れ出した。』
『しかし、このときは参った。』
『いざ服を脱がせ始めると、帰るといって泣き出した。』
『ナイフを使って、脅したが相手が小さすぎたのだろう。』
『怯えて、ますます泣き出した。』
『腹を立てた俺は、思わず側にあった拳大の石を拾って、女の子の頭を殴りつけた。』
『女の子はそれで動かなくなった。』
『その後、ゆっくり服を脱がせると、未だ胸も膨らんでなかった。』
『女の子の小さな足を広げて覗いてみると、そこには小さな割れ目があった。』
『そこに、俺のペニスが入るかどうかは解らなかったが、いきり立ってどうにもならなかった俺は、自分のペニスを小さな割れ目に無理矢理突き立てた。』
『最初はなかなか入らなかったので、唾を付けてねじ込む様に挿入した。』
『女の子のそこは、堅くて痛い位だったが、そのまま夢中になって腰を動かしてた。』
『その途中に、女の子が目を覚まし、火がついたように泣き出した。』
『女の子が、目を覚ましたのを知らなかった俺は、いきなり大声で泣き出されて慌てて、口を押さえ、そして未だ下半身でつながったまま、女の子の細い首を絞めた。』
『女の子の舌骨は小さかった。』
『ゴツっと言う音がして簡単に折れた。』
『あの独特の感触を残して。』
『女の子の体が痙攣し始めたとき、俺は不思議な感覚にとらわれた。』
『断末魔の痙攣の時、未だ女の子の中に入ったままの俺のペニスを、強く握るように締め付けてきた。』
『それが、えも言われぬ快感だった。』
『女の子の舌骨が折れ、自分の手の中で痙攣しながら死んでゆく一つの命を見る快感と、痙攣の度に自分のペニスを締め付けてくる快感が合わさって、俺は恍惚として射精していた。』
つづく
2005.03.31