カバ園長の愛称で親しまれた、埼玉県にある東武動物公園の初代園長・西山登志雄さんが亡くなった。
葬儀の道案内には「かば園長葬儀式場」と書かれ、式場にはカバの銅像や置物、ぬいぐるみ、花で描かれたカバの絵などであふれていたという。
16歳で飼育係として上野動物園に入り、カバをはじめ様々な動物を育ててきた彼は「僕はカバが大好きである。カバも僕が好きである」そういっていたそうだ。カバに似てないともいえない
親しみのある顔 と軽妙なおしゃべりは、お母さん方からも人気があり、テレビなどでの愛情あふれる話に聞き入ったものだ。
その西山さんが言っていた。子供達にお母さんの絵を描かせると、ほとんどの子供が顔の真ん中に大きな丸い鼻の穴を描くという。下から見た顔がそう見えるらしい。
「お母さん、子供と話をするときは、子供の目線に立って話をしなければいけません。立ったままでは子供に威圧感を与えます」西山さんはそう言っていた。
福岡県では中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺したが、その誘因が担任教諭のいじめ発言にあったという。その学校の対応にもニュースを見るかぎり不愉快極まりないものがある。
13歳の子供が首を吊って自殺するとき、何を思うだろうか。子供の目線に立ってものを見たとき、この教諭が発した言葉が果たして言えるだろうか。
西山さんはその著書でこう言っているという。
「どうしたら動物と仲良くなれるかと悪戦苦闘するうちに、彼らのあまりのすばらしさに、いつか動物の側に立ってものを考えるのが習性になってしまった」
園長を見に来る動物園はここ以外になかっただろうといわれている。
西山登志雄さんと、自殺した男子生徒のご冥福を祈ります。
2006.10.16