山手線と命名されて百数年が経つらしいが、今、山手線(やまてせん)は山手線(やまのてせん)と名を統一し、緑色のラインの入ったステンレス製の車両が走っている。今から50年前の1963年12月から1988年まではみどりの車両が走っていた。
1984年のヨドバシカメラのCMには「ま~るいみどりの山手線(やまてせん)」と歌われたが、その後、山手線(やまのてせん)と歌詞を変えて歌われ、みどりの車両は山手線のシンボルでもあった。
そして今、50周年を記念して今年の12月迄、緑色にラッピングされたみどりの山手線が一日に一編成だけ走っている。
写真を撮るだけでは片手落ちと車両に乗り込んだが、車内は別に変わったところはない。次の駅で降り、再び車両にカメラを向けていると、そばで携帯を手に写真を撮る若者がいた。
電車が発車すると、彼は「だんなさんはこの車両を待っていたんですか?」と、僕に声をかけてきた。
「いや、この車両に乗ってきたんだけど」
「僕もこの車両に乗ってましたけど、だんなさんが写真を撮っているのを見て、みどりの車両だと気が付いたんです」
「それでケータイで写真を撮ってたんだね」
「この車両のことは、テレビで見て知ってましたけど、僕が生まれたときは、もう走ってなかったんです」
「えっ、いくつなの」
「24歳です」
「そう、25年前に廃止されたからね」
「両親がとても懐かしいって言ってました」
「そのケータイの写真は、ご両親に見せるんだね」
「はい」
「いや、この車両に乗ってきたんだけど」
「僕もこの車両に乗ってましたけど、だんなさんが写真を撮っているのを見て、みどりの車両だと気が付いたんです」
「それでケータイで写真を撮ってたんだね」
「この車両のことは、テレビで見て知ってましたけど、僕が生まれたときは、もう走ってなかったんです」
「えっ、いくつなの」
「24歳です」
「そう、25年前に廃止されたからね」
「両親がとても懐かしいって言ってました」
「そのケータイの写真は、ご両親に見せるんだね」
「はい」
若者との会話は清々しく、みどりの山手線がより爽やかな緑色に見え、この時期としては暖かな陽射しがより温かく感じられた。