今回は、「色絵 牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿」の紹介です。
これも、昭和60年に買ってきたものです。
私が古伊万里のコレクションを始めたのは、昭和49年に1,000円で染付の古伊万里の油壺を買って以来ですから、この頃になりますと、古伊万里コレクション歴も10年以上となり、古伊万里も随分と分かってきましたので、果敢にコレクションに挑んでいた頃です。
それに伴い、だんだんと授業料も高額になってきていました(~_~;)
そんななかで遭遇したのが、この「色絵 牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿」です。
これは、現代作の古伊万里の写し物、つまり、古伊万里の偽物を高額で買った際のオマケとして貰ったものです。高い授業料を払ったわけですが、結果的には、このオマケが良いものだったおかげで、授業料のかなりの額は回収出来たのではないかと思っております(~_~;)
なお、この「色絵 牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿」を手に入れた経過及び解説につきましては、今ではやめてしまっている拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中でも既に紹介していますので、次にそれをここで再度紹介いたします。
その前に、先ずは、「色絵 牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿」の写真を紹介いたします。
見込み面
立面
裏面の角の部分
このような文様が、その反対側にも描かれています。
底面
鳳凰部分の拡大
鳳凰の目には点が付加され、表情があります。
側面に描かれた花の拡大画像
花心には小さく金彩が施されています。
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期~中期(1680~1700年代)
サ イ ズ : 口径;13.9×13.4cm 高さ;5.0cm 底径;7.5cm
次いで、「古伊万里への誘い」の記事の紹介です。
=================================
<古伊万里への誘い>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里随想28 授業料 (平成15年9月筆)
昭和60年のことであるから、今から18年も前に遡る。当時は地方のデパートでよく骨董市が行われていた。デパートの催事場を借り切って行われていたものである。最近では、ほとんど開かれなくなったが、どうしてなのだろう? 催事場の使用料が高いからなのだろうか?
それはともかく、話しを元に戻そう。その18年前のデパート催事場で開かれていた骨董市へいそいそと出かけて行った。当時は、今のようにあちこちで骨董市が開かれていなかったので、そうした催しを事前によくチェックしていて、その日の到来を楽しみに待っていたものである。
催事場を何回か巡り、その中で買いたい物をチェックする。買いたい物は沢山あるのだが、懐具合が伴わない。そうこうしているうちに、なんとか懐具合と相談の結果購入できそうな物を1点にしぼった。それは、中国の仙盞瓶の形をした古伊万里染付水注である。
ところで、その水注の傍らには柿右衛門様式の色絵四方深皿(画像参照)が4~5枚重ねて置いてあった。見れば全部傷物である。そのうちの一番傷の少ない物1点を選び、それを水注の「オマケ」にするよう交渉する。交渉はあっさり成立し、水注と四方深皿とは我が物となった。
家に戻り、さっそく何冊かの本をチェックする。ところが、そのうちの1冊に、なんと、その水注とそっくりの物が載っているではないか! 嬉しさがこみあげてくる!! 至福のひととき、、、、、!!!
しかし、嬉しさのあまり傍らに置いて毎日ながめていると、なんとなくギコチナサを感じるようになってきた。どうもシックリこないのである。古格を感じなくなってきたのである。訴えるものが薄れてきたのである。
結局は、最近の倣製品にちがいないだろうとの結論に達し、色絵四方深皿と共に押入れの奥の方へと押しやった。喜びもひとしおだっただけに、嘆きはその数倍であった。「高い授業料だったなー!」との思いのみが残った。
ところが、最近、押入れをかきまわし、別件の物を捜していたら、偶然その水注と色絵四方深皿を発見し、18年前の記憶が鮮明に蘇ったのである。18年の時空を超えた今でも、くだんの水注は、やはり倣製品であった。古伊万里水注とはならなかった。当時の判定が覆ることはなかった。「高い授業料だったなあ!」との思いだけが強く蘇った。
でも、その授業料のおかげで、その後、この種古伊万里の判定にはかなりの自信を持てるようになっている。「授業料」の効果であろう。
なお、授業料の代わりに水注と共に手に入れた柿右衛門様式の色絵の四方深皿は、今改めて見てみると、まんざらでもないことに気付く。最近ではこの手の物も少なくなってきているのである。傷(ニュー)がなかったら、今ではまあまあの物であろう。18年前、水注の「オマケ」にするように交渉した成果が今やっと現われたようである。また、「授業料」の効果も各分野にわたって顕れてきていることを実感している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*古伊万里ギャラリー69 柿右衛門様式色絵牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿(平成15年10月1日登載)
これは、「古伊万里随想28」に記したように、昭和60年(今から18年前)に「オマケ」にもらったものである。
当時は、傷もの(底部にニューがある。)であるし、「オマケ」にもらったものでもあるしで、押入れにしまい込んだままですっかり忘れていた。
最近、偶然発見し、我が家には「こんな物もあったのかー」という感じである。
見込みには、余白をたっぷりととった中に、花と鳥が描かれている。よく見ると、鳥の目には小さな点がつけられ、眼光鋭くこちらを睨み返しているように見える。鳥には表情さえ伺えるのである。いかにも「柿右衛門の針描き。」にふさわしい。また、口縁には口紅を塗り、器面全体を引締めている。
裏面には花が2箇所描かれ、赤い花の花芯には、ほんのちょっと金彩が施されていて、隠された所にちょっぴり華やかさが伺える。心憎いほどの演出だ。
このように見直してみると、この四方深皿、どうしてどうして、結構柿右衛門様式の特徴をよくとらえている。しかし、1枚しかなく、しかも傷物である。我が家に来なければ、こうして世に紹介されることもなく、消滅していったことであろう。
そういう意味では、私はこの四方深皿から感謝されてもいいのではないかと思っている。
江戸時代中期 口径:13.9cm 高さ:5.0cm
================================
なお、この「色絵 牡丹籬(まがき)鳳凰文 四方深皿」につきましては、今では、この類品が、「柴田コレクション総目録」(佐賀県立九州陶磁文化館編集発行 平成15年発行)にも掲載されていますので、次に、それを転載いたします。