Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 山文 碗

2021年01月15日 14時10分21秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 山文 碗」の紹介です。

 これは、本来なら蓋を伴った蓋付飯茶碗かなとも思うのですが、蓋付飯茶碗にしてはちょっと大振りですから、やはり、これはそのままで、蓋を伴わないままの「碗」なのかなとも思えますので、一応、単なる「碗」としました。

 

立面

文様は何を描いたのか分かりませんが、「山」としました。

その文様が、ぐるりと一周して描かれています。

 

 

見込み面

見込みには文様が描かれています。

 

 

底面

 

 

 ところで、上の「見込み面」の画像から分かりますように、この碗の見込みには「見込み文様」が描かれています。

 「見込み文様」から、その作品の製作年代が分かることがありますので、さっそく調べてみることにしました。

 調査に際して使用した資料は、「柴田コレクションⅣ」(佐賀県立九州陶磁文化館 1995(平成7)年発行)です。

 その巻末のほうに、鈴田由紀夫氏(現:佐賀県立九州陶磁文化館館長)が、「17世紀末から19世紀中葉の銘款と見込み文様」という論文を載せています。

 その中に、この碗の見込みに描かれた文様によく似た文様が載っていました。次のようなものです。

 

 

 また、上の画像に書かれている「図322」というものは、次のようなものです。次のような比較的に上手の碗の見込みに、このような見込み文様が描かれているわけですね。

 

 

図322 染付 菊花四方襷文 小碗

1780~1810年代 口径8.7 高さ5.4 底径3.4

 

 

 以上のことから、この「「染付 山文 碗」も、比較的に上手の碗でもありますことから、1780~1810年代に作られたものであることが分かります。

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代後期(1780~1810年代)

サ イ ズ : 口径;11.4cm 高さ;6.2cm 底径;4.7cm