構想日本加藤秀樹特別講演会

2010-03-07 12:59:27 | 議会活動
7日のブログにも書きましたが松本市で開かれた構想日本の加藤秀樹氏の特別講演会「いま語る、本当の事業仕分け」に参加しました。その時の講演録を掲載します。長文です。よろしかったらお読みください。

■ なぜ事業仕分けなのか

事業仕分けは構想日本が8年前から始めてきたものです。昨年民主党政権が事業仕分けを行うということで大騒ぎになりました。会場には1万5千人の方が傍聴に訪れ、ネット中継ではピークで2万人の方にアクセスしました。国がいろいろな事業を行っています。それには必ずお金がついています。そのお金が町の人のためになっているのか、喜ばれているのか、機能しているのか、それを職員の人と構想日本のメンバーが向き合い会って議論する。それを市民が聞いている。そして続けるかやめるか仕分ける。これが事業仕分けです。
私はかつて大蔵省(現財務省)に勤務していました。分権とか行政改革とかこれまで議論されてきましたがなかなか実行には移されません。10年前には橋本行革、もっとさかのぼれば土光臨調がありました。行政改革は議論することが目的ではなく実行することです。そこでどうしたら進むか考え、8年前に大蔵省をやめて事業仕分けを始めたわけです。

■ 広がってきた事業仕分け
始めたのは2002年2月から、最初は改革派といわれた知事を口説いて始めました。当時はまだノウハウもなかったので全部の事業をやりました。一項目5分ぐらい。あまり精緻な議論はできませんでした。しかし全部やると見えてくることがあります。都道府県であれば継続したほうがいいというものは6割、市町村で7割。やめた方がいいというものが1割でした。しかし精緻な議論でなかったので使えません。そこで事業を絞って一つひとつていねいに議論していこうということになりました。昨年は国の3千事業のうち450事業を行いました。
最初は事業仕分けは大変だと感じました。あまり人気がよくないんです。外部の人間が職員に向かってその事業が必要なんですかと突っ込んでいくんですね。その職員にしてみれば不愉快なんですね。ですからやりたくない。よっぽど上から強力に言われないとやらない。しかし2007年から状況が変わってきました。やりたいというところが増えてきました。財政が厳しくなってきたんですね。誰しも自分の仕事は大事です。大事でないものはないんです。それを外の人間に、贔屓目で見ない人に議論してもらったほうが切りやすいということになったんですね。
2008年には自民党が事業仕分けをやりました。あまり報道されませんでしたが大事な出来事だったと思います。自民党の中にムダ撲滅チームができ、4人の中堅の国会議員が担当になりました。その担当の一人に河野太郎さんがいました。そこで事業仕分けやろうということになり、文科省、環境省、財務省、外務省をやりました。その中に出て来て不要になって有名になったものがアニメの殿堂です。河野さんの言葉によれば国営漫画喫茶だというんです。こんなものはいらないと仕分けの対象になりました。

■ 外の視点・現場感覚・公開の場
事業仕分けには大事な3つの必ず守らなければいけない原則があります。1つは外の人間が行うことです。市の職員同士で仕分けをしてもダメなんですね。中の人同士ではなかなか切り込んで行けない。
2つ目は仕分け人自身現場を知らないとダメなんですね。例えば生涯学習の事業がある。3千万円の予算がついたとしてもそれで実際に1年間何をしてきたかを知らないと役に立たない。そこが非常に大事なんです。構想日本には事業仕分けのコアメンバーがいます。我々は彼らを必殺仕分け人と呼んでいますがよく現場を知っています。このメンバーは神奈川県内の自治体の職員が多いんです。市の職員で財政を担当していましたから現場のことがわかるんですね。そういう人たちをチームを組んで60余りの自治体で事業仕分けをしてきました。
3つ目に大切なことは公開の場で行うことです。みんなが見ているところでやることが大事です。みんなが見ていないところでやるとこれまでの審議会と同じになるんですね。いい議論ができたとしても報告書を書くのはお役人です。あとは如何ようにも書けます。ですから役人があとに引けないという状況をつくることが一番大事です。 議論している時からフルオープンにし、みんなが見ている場面をつくることにより、のっぴきならない状況においてしまうということが大事です。フルオープンにはこれまでにも抵抗を受けてきました。しかし絶対に守らなければいけない原則です。そしてそこで必ず結論を出すことが大切です。みんなが見ている場面で少々乱暴なこともありますがとにかく結論を出すことです。
すなわち外部の目、現場のことを判っている人、みんなが見ているところで結論を出す、これが鉄則です。

■ あたらない事業仕分けへの批判
仕分けに対してたくさん批判もありました。その中にはあれでは公開処刑だ、劇場型政治の典型だという批判もありました。しかしこれまでの60いくつの事業仕分けでは問題にはなっていません。今回の国の事業仕分けで始めて出てきたことです。ですから劇場型にするもしないもそれはマスメディアの責任です。
国については1事業1時間でやりました。1時間で結論を出すのは乱暴だという議論がありました。しかし1時間で議論してもあんまり説得力がある議論は少なかったと思います。必要だから必要ですという議論が多かったと思います。だからもう1時間増やしたら説得力のある議論がなされるかとは思えません。よっぽど説得力があったら増やしたらいいんですね。

■ 事業仕分けから組織と制度の見直しへ
行政においては事業の裏に組織と制度があります。一つの事業がいらないといっても組織が残ればまた同じような事業が繰り返されます。事業と組織と制度を見直さなければならないのです。事業の後ろには制度があります。それを変えなければ事業は直りません。
例えば長野県の栄村の例があります。町の中の生活道路は幅が5mです。構造材は何を使うかすべて国がこと細かに決めています。これにもとづいて道路を作ると1mあたり、11万1000円かかります。国の補助はその半分ですから地元負担は5万5500円。しかし栄村では出せない。そこでとことん工夫したら1万9000円でできた。道路幅は5mもいらない、構造材も安いものでいい。そこで安くできたんですね。
栄村のように6分の1にまでいかなくても安くできる道路はいっぱいある。こうしたことを積み重ねていけば節約できる。しかし国の制度や基準に基づいたらできない。国から補助金が来なくても節約すればできるんですね。現場の裁量を増やして自由度を増やすことが必要です。それを地方分権といいます。そうすれば地方のコストはもっと減るんです。
国の補助制度も問題です。1万9000円でできたら9500円補助すればいいのにそれができない。もっというと1万9000円だったら全部補助してもいいのではないでしょうか。地方が節約すればするほど補助率をあげればいい。例えば半分にしたら補助率を8割にする。半分以下にしたら補助率は10割にする。そうすればみんな節約するわけです。そういう制度が望ましいと思うんです。国の言うとおりにやれば補助金は出すがそうでなければ出さないという仕組みが問題なんですね。

■ スパコンの事情とは
昨年の事業仕分けは予算査定のように見えたかもしれません。しかし事業仕分けとは予算が有効に使われたかどうかをチェックすることなんです。民主党がマニュフェストに言った高速道路の無料化や子ども手当をなぜ対象にしなかったのかといわれましたが、まだやってもいないことは事業仕分けできないんですね。
ある県で青少年育成事業という事業がありました。その内容は子供たちを公園に連れて行ってポニーに乗せるということでした。これが事業としていいんですかと聞いても、青少年育成事業はとにかく大切だという返事しか帰ってこないんですね。これでは議論になりません。
スパコンでもそうでした。スパコンの開発や科学技術を否定するという議論ではありませんでした。ノーベル賞の野依さんの言うように仕分け人で科学技術を否定した人はいません。スパコンを開発するという事業としてこれまで毎年260億、280億ものお金を使ってきた、神戸には建物もできた。それで3年後に世界最高速のスパコンができるんですかという議論でした。どうせ作れないんなら、そこで連坊さんの「世界第二位ではダメなんですが」という有名な言葉が出てくるんですね。
実は昨年文科省は世界最高速はとれないと内部文書を出しているんですね。先ほどの河野チームでもスパコンは不要となっているんですね。何で必要かと聞いても国民の夢ですなどという返答しか出てこなかったんです。実は最初富士通とNECと日立の3社が入っていたが、NECと日立は見込みがなく降りたんですね。
パソコンでも何でも新しいものが常に出てきます。ある瞬間に演算速度だけで一位を取ることにどれだけの意味があるのか。神戸に一台の世界最高速のスパコンを置くよりも、日本中に10台のスパコンおいた方がいいのではないか。なぜ神戸に1台だけ置くことに意味があるのか。それよりも使い勝手を良くする為に何台か置いたほうがいいのではないかという議論だったのです。
野依さんという人は実は利害関係者です。あれがもしゼネコンの社長が公共工事を否定するというのはおかしいとしたらそちらが叩かれたはずです。だから決してスパコンや科学が要らないという話ではなかったのです。
4月の末から5月にかけて公益法人、独立行政法人について行政仕分けします。お金を削減することが問題ではない。むしろそのなかで浮かび上がってくる制度、組織を問題にし、制度そのものを問題にすることのほうがより大事なことです。最近は事業仕分けに市民評定者に加わってもらうことも出て来ています。ぜひそういう目で見ていただきたいと思います。

一日雪降りでした

2010-03-07 12:43:42 | 雑感
7日は終日雪降りでした。昨日は雨、そして今日は雪。このところお天気がいまひとつです。この間まではお天気も良く暖かくなっていたのですが、ここに来てまた冬に逆戻りです。三寒四温といいますが、まさにその通りです。こうやって行きつ戻りつして季節は進んでゆくのですね。みぞれ交じりの雪で真っ白になりました。朝から確定申告に取り掛かりました。15日までですので今週中には何とかしなければなりません。午前中知人からファックスをいただきました。一般質問をCATVで見た感想でした。表を使っての質問も良かったけれど、表が小さく拡大して透明なケースにいれたらとのことでした。自分も家族もCATVを見ていないのでこうして忠告をいただくとありがたいです。国会論戦ではよくパネルを使っていますが東御市では少なくとも私が議員になってからはありません。また資料配布という制度はあるのですが、あまり使われていないと思います。今回はからずも櫻井議員と私が行うことになりました。市民の皆さんにとって分かりやすくするために必要であればまた挑戦したいと思います。

日めくりカレンダー