長井はその昔、最上川の水運で栄えた町で、当時は相当賑わったとのことですが、物流が鉄道、道路に変わると役割を終え、奥羽本線や国道13号が長井を通らなかったため、その分昔の雰囲気を残しています。
この周辺には過去に何度か来ており、長井を通過することはありましたが、長井の街を歩くのは今回が初めてです。
あやめ公園から長井の中心にある「あら町通り」を南に向かい歩きます。しかし、土曜日の御昼前ですが歩いている人はおらず、車もまばら、開いている店もほとんどありません。
ところどころに古い建物はありますが、町並み自体が古いわけではありません。
陽が出てだいぶ暑くなってきたので、途中にあったヨークベニマルのイートインコーナーでしばし休憩。この辺が現在の中心のようで、開いている店も多く、人も結構いました。
ヨークベニマルからさらに南に向かったところに、「やませ蔵美術館」があります。
ここは最上川水運で財を成した紬問屋の蔵を美術館として開放しているもので、金土日のみ開館しています。
きれいに整備された庭園内に蔵が点在しています。
水琴窟も何か所かあります。
ここは、最新の、JR東日本の「大人の休日倶楽部」のポスターに使用されています。じつは、米沢駅でそのポスターを見て、ここに来ることにしたのですが。
この木の手前の石段が、吉永小百合さんが座っていた場所です。
肝心の展示物ですが、個人が収集したアメリカの絵画等を展示しており、個人的にはあまり興味はありませんでした。唯一最後の蔵のみが昔の紬の柄の見本帳等を展示しており、興味深かったです。
次に向かったのは、「鈴木酒造店 長井蔵」です。
鈴木酒造店は、もともと福島の浪江の海のそばにありました。
しかし東日本大震災で壊滅し、さらに福島第一原発からわずか7kmという立地のため戻ることすらできない状況のなか、福島県試験場に酵母が残っていたことで酒造り再開を決意し、後継者不足で酒造りを断念した長井のこの蔵で再開を果たしました。
現在はもともとこの蔵で造られていた山形系の「一生幸福」と、福島系の「磐城壽」の主に二種類を醸造しています。
福島時代の「磐城壽」は残念ながら飲んだことはありませんが、山形に来てからの「磐城壽」は何度か飲んだことがあります。レベルの高い山形の日本酒に対しても引けをとらない良い日本酒だと思います。
まだ帰りの列車までは時間があるので、昼食をとることにします。むかったのは「そば処 丸万」。
相変わらず街を歩いている人は少ないですが、この店は結構混んでいました。
店の中に入ると大きな庭があります。長井には、他にも大きな敷地を持つ古い家が点在しており、美香氏の栄華をしのばせます。
これはもりそば。そばはけっこうもちもちしています。
めんつゆと薬味と漬物です。めんつゆはかなり濃く、塩辛いですが、中央にある大根のおろし汁を加えて調整することにより甘みが加わりちょうどよくする仕組みです。
こちらは温かい肉そば。肉は山形なので当然鶏肉です。
そして、あやめ公園の半券を持っている人にはサービスでわらび餅がつきました。
人が多くいるのも納得のそばの名店でした。
<その3に続く>