土湯温泉から国道115号を通り、本日の宿泊地、中ノ沢温泉に向かいます。
途中にある道の駅 つちゆ。ここはあまり規模は大きくない道の駅ですが、なかなか景色よよい場所にあります。
雲は多いですが、天気は良く、暑さも復活しています。
長い土湯トンネルを抜け、5月に訪れた沼尻軽便鉄道の沼尻駅跡から少し進むと中ノ沢の温泉街が現れます。
ここは地域でいうと会津地方になります。
中ノ沢温泉は、7kmほど山の上にある沼尻元湯のお湯を引いてきています。沼尻元湯を使用する沼尻温泉がもともと不便な場所にあったため、比較的便利なここまでお湯を引いてきて開湯した温泉地です。かつて沼尻に硫黄鉱山があり、近くまで鉄道が通っていたころにはだいぶ賑わったのでしょうが、今では静かなこじんまりした温泉地です。
少し温泉街を散策します。
温泉街にある日乃出屋さん。
名物の天ぷらまんじゅう。表面がかりかりで、それほど重くなく、おいしいです。
店内に沼尻軽便鉄道の模型がありました。
温泉街の猫。
温泉街の入り口に、「高原列車は行く」の歌碑があります。看板の表と裏で使われている写真が異なります。
沼尻軽便鉄道は、各駅跡ごとに看板が立っており、廃線としては比較的履歴が残されています。
さて、本日の宿は、御宿万葉亭。中ノ沢の温泉街から100mほど離れた、原生林の中にあります。
なかなか立派な建物です。一昔前の高級純和風旅館といった感じです。
今回の部屋は、この宿唯一の二間続きで温泉付きの「すみれ」という部屋です。
二間続き、といってももともと別の部屋だったものを窓側の奥に扉をつけてつなげた間取りになっています。
なのでトイレ2か所、洗面に至っては4か所ある構造となっています。
一番大きい洗面はこんな感じ。シンプルで使いやすい洗面です。
一見無駄なようにも思えますが、それは2名利用だからであって、例えば、2家族で利用するような場合には非常に良い間取りと思われ、良く考えられていると思いました。
そして、部屋の冷蔵庫が時限ロック式です。久しぶりに見ました。冷蔵庫に入れた私物はロック前に取り出さないといけません。
窓の外には濃い緑が広がります。
敷地外は手つかずの原生林と思われます。
部屋には笹団子が用意されています。
この部屋に宿泊した人にのみ、フルーツと炭酸水が用意されます。
国産の貴重な、奥会津金山の天然炭酸水です。
もう一つの部屋は洋室です。なかなか寝心地の良いベッドです。
部屋の窓からは
部屋付きの温泉への入り口。
お湯は沼尻元湯、当然源泉かけ流し、なんとも贅沢です。
部屋の温泉も良いですが、この宿の大浴場が非常に素晴らしいです。
脱衣場は畳敷き、木を贅沢に使った浴場は天井が高く重厚で、床も木造です。
内湯、露天風呂ともに広く、洗い場も7か所と、宿のキャパに対しては充分な広さです。
最近、貸切とか部屋付きの風呂が増えてきていて、大浴場がなかったり、あっても3人くらいしか入れない小さな大浴場しかない宿も増えてきましたが、この宿の大浴場は本物です。
とにかく気持ちいい、今までに入った大浴場では一番かもしれません。この宿は立ち寄り湯はやっていないですが、この大浴場に入るためだけに宿泊する価値があると思います。
宿の予約状況では満室でしたが、実際にはすべての部屋が埋まっているようには思えず、おそらく多客期以外は部屋数を絞って営業しているものと思いますが、そのため大浴場はいつ行ってもほぼ独占状態でした。
このぐらいの混雑度であれば、温泉付きの部屋でなくても充分かもしれません。
しかし、部屋の温泉と大浴場では、泉質が異なります。
両方とも源泉は沼尻元湯ですが、部屋は酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉ですが、大浴場は酸性含硫黄硫酸塩化物泉になっています。
実際、大浴場は爽やかな酸味ですが、部屋の温泉は渋味、苦味のある酸味で、明らかに違います。同じ源泉でなぜこのように違うのかはわかりませんが、両方ともよい温泉であることは間違いありません。
<その5に続く>