ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

母なる証明

2009-09-23 23:07:40 | は行
連休中、ずっと原稿書きで地獄でした…

地獄といえば(?)
ようやく10/31公開が決まった

「母なる証明」73点★★☆


「殺人の追憶」「グエムル―漢江の怪物―」の
ポン・ジュノ監督最新作。

前2作にド肝を抜かれ、
かつ本作は
今年のカンヌ国際映画祭で大絶賛、ということで

異常なまでに期待も高まりましたが


正直、見終わってすぐは30点と思った。


だって
「殺人事件の容疑者となった息子を救うため
真犯人を追う、母親の姿を極限まで描く
ヒューマン・ミステリー」

という前宣伝から想像してた映画と
あまりにも違ってたから。


しかーし。

試写から2ヶ月近くたったいまも
じわじわとシーンが蘇ってくる
ある種の「囚われ」映画です。


主人公は漢方薬局で働く母(キム・ヘジャ)。

彼女は
クリクリと小鹿のような目をした
無垢な一人息子(ウォンビン)を溺愛している。

だがある日、町で殺人事件が起き
息子が容疑者に。

母は息子の無実を信じて
一人で真犯人を追う…

ってこれじゃ前宣伝の文句とおんなじやん!


しかし、かん口令もしかれており
実際、
ネタをばらすと本当にもったいないので
これ以上は書けません。


ただ
わざと感動話を避けたであろう
後味のしょっぱさ、
そしてポン・ジュノらしいあっけないまでの残酷さに
衝撃を受け、あ然とすることは間違いなし。


子を思う母の重さを
なにかが憑依したように演じる
キム・ヘジャの迫力にゾッとするし
犯人探しのミステリーとしても
かなり斬新な展開かと思う。


ホラー的怖さではないので
その点は心配無用。

ただし「楽しんで」とはとても言えず
後からじわじわと効いてくることは
間違いありません。


いやー
雰囲気を伝えることすら
拒否する映画ってある意味すごい。


★10/31からシネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか
全国で公開
コメント (4)
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