ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

カラフル

2010-08-21 02:15:23 | か行

制作・サンライズったら
「イデオン」「ザブングル」でしょー!
・・・え?古い?


「カラフル」73点★★★


「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001)など
「(意外に)オトナも楽しめる」アニメ監督として
評価の高い原恵一監督が

森絵都のベストセラー小説を映画化したものです。


主人公は死んでしまった「ぼく」。
「ぼく」はなぜか
下界に戻って再挑戦するチャンスを与えられる。

「ぼく」が入りこんだのは
中3で自殺した小林真(まこと)の体。


真として学校に通い、その家族と暮らすうちに
「ぼく」は真がクラスメートから
「いないもの」とされていたことや
平凡に見える小林家のほころびに気づいていく。

やがて「ぼく」は
真の自殺の理由を知ることになり……。


いや~
日本のアニメーションのクオリティはやっぱりすごい!

とにかく絵がいいんですよねえ。


ありふれた住宅街や、家庭の食卓、
そんな日常が“絵”になることで
とても新鮮なものになる。

この楽しさは、格別ですよ。


ジブリ作品でいうと
「耳をすませば」の街の風景が
大好きな人は、まずいけるかもしれません。


特に筆者には
舞台となる等々力→二子玉周辺の風景が
実に懐かしくツボでした。


ごはんのシーンもどれも美味しそうで
「あ、今夜豚しゃぶ鍋にしよ」とか思っちゃった。
絵なんですけどねえ。


ただ、ストーリーが常に中3の視点と
脳みそのキャパシティのなかで描かれるので

例えば
真が母親に対する嫌悪感をいつまでもぬぐえずに

ネチネチと拒絶を続けるシーンなど
正直イライラする場面もあります。

「いつまでふくれてんだよ、青いなあ」って。


でも、これこそが
おそらく中学生のリアル心情でしょう。


思春期のモヤモヤって
そんなにカンタンに消えるもんじゃないし

「ある日突然、ボクは目が覚めた!」とか
実際にはあり得ないから。


本作はかつて中学生だった人には
こうした自己嫌悪と甘じょっぱい感覚を

現・中学生には
単純そうで実は到達しずらい
「ダルくてウゼー毎日と、10代を生き抜く奥義」を
教えてくれる作品かと思います。


中学生とその親世代に
ぜひ見て欲しいなあ。


★8/21から全国で公開。

「カラフル」公式サイト
コメント (2)
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