アウシュビッツで
こんな“愛”もあったんですねえ。
「あの日 あの時 愛の記憶」70点★★★★
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1976年のニューヨーク。
ドイツからアメリカに渡ったハンナ(ダグマー・マンツェル)は
夫と成人した娘に囲まれ、幸せな日々を送っていた。
だがある日、
テレビから聞こえてきた“声”に
彼女は愕然とする。
それは32年前、
彼女がアウシュビッツ強制収容所で出会い、
恋に落ちたポーランド人青年トマシュの声に似ていたのだ――。
死んだと聞かされていた
トマシュは生きているのか?!
そしてその声はハンナの記憶を
32年前の
強制収容所に引き戻してゆく――。
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ナチス時代のポーランド収容所と、
1976年の“現代”をつなぐ愛の物語。
収容所で出会った男女の愛とスリリングな逃走劇が
スッと自然に切り替わり、
32年後の、ある女性の家庭につながる転換が
なかなかに職人技です。
しかも実話が基だそうで、
収容所話というと
悲惨な情景が思い浮かんじゃいますが、
そのなかで
こんなふうに愛しあってしまう
男女がいたんだなあと
ちょっと新しい視点をもらった感じしました。
いわば初っぱなから結末が明かされているのに、
過去の回想も退屈させないし、
「サラの鍵」ほどの衝撃はないけど、
ほとばしる「愛」とその残酷さに
テーマを絞ったのもシンプルでいい。
なかでも息子を思う母の愛が動機となる
本能的な残酷行為にゾッとしました。
実話だっていうのがミソなわけですが、
その分
いろいろ考えてしまうこともある。
まあ、
うーん、ダンナ、優しいよなア……。
★8/4(土)から銀座テアトルシネマほか全国順次公開。
「あの日 あの時 愛の記憶」公式サイト