なんだろう、
1920年代のサイレント映画を
思い出させるようなこのムード。
「Virginia/ヴァージニア」69点★★★★
*********************
さほど売れてない小説家のホール(ヴァル・キルマー)は
サイン会のために、ある田舎町を訪れる。
うち捨てられ、時を止めたようなその町には
不思議な時計台があった。
ホールはミステリ好き保安官(ブルース・ダーン)から
最近町で起きた、謎めいた殺人事件について聞く。
「次回作のネタになるかも・・・」と、
町を散策していた彼は
霧の立ちこめる夜の森で、V.(ヴィー)と名乗る少女に出会う。
そしてホールは彼女に導かれ、
かつてこの町で起きた、おぞましい事件を知ることになり――。
*********************
フランシス・F・コッポラ監督が、
エル・ファニングを主演に迎えて撮った作品。
監督がスランプ作家を描くとか、スランプ監督を撮るとか
けっこうグチャグチャになりがちで、
正直、あまり期待してなかったのですが(失礼!)
どっこい
自主制作っぽい規模と味わいが
巧い具合に作用した、なかなか味わいある作品でした。
89分とコンパクトだし、
趣味で作ったショートフィルムという感じで、
割りと好きな世界観だなア。
1920年代のサイレント映画のようなムードもあり、
デヴィット・リンチっぽい迷宮世界にも似ている。
夢とうつつの交わりかたも悪くない。
ホラーやミステリーというより、
幻想的で月明かりに照らされた
冷たく哀しい美しさが印象的でした。
コッポラ監督は、97年以降、
10年以上も単独監督作品を撮ってなかったけど
そんな彼が
また「撮りたい!」という気力を戻して撮ったのが
「コッポラの蝶の夢」(07年)と
「テトロ 過去を殺した男」(09年)。←未見。。。
これらは
(1)オリジナルストーリーであり
(2)個人的な要素を持ち
(3)自己資金で撮る
っていうのを、ルールに撮られたそう。
本作はその3作目で、
大巨匠のいろんな“もがき”みたいなものが昇華され、
あれまあ、意外に学生の作品のような
シンプルな若々しさがあったりするのにも「へぇ」って。
でもまあ、たぶん監督は
月明かりに照らされるエル・ファニングを
撮りたかったんじゃないかなあと、思いますよね(笑)
★8/11(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
「Virginia/ヴァージニア」公式サイト