これはいいタイトル!
「さざなみ」80点★★★★
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イギリスの地方都市に暮らす
ジェフ(トム・コートネイ)と
ケイト(シャーロット・ランプリング)は
結婚45周年を迎える夫婦。
子どものいない二人は
とても仲良しで
互いに慈しみあいながら、静かな日々を送っていた。
が、ある朝、
ジェフのもとに一通の手紙が届く。
それは、50年以上前の
ジェフの恋人についての知らせだった――。
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これは本年度「いい邦題で賞」部門ノミネート決定!
原題は「45YEARS」だもんね。
まさにこれは
「静かな初老夫婦の日常にさざなみが立ち、消えない波紋となっていく」
その様子を捉えた映画。
その「さざなみ」の原因となるものが
なかなかひねってあっておもしろいんですねえ。
おそらく想像するほどの「大事件!」はないんです。
結局は「ダンナに忘れられない女がいる」という
まあありがちな話なんですけど
その「昔の女」が
氷河のなかでミイラになっているとは斬新。
そんな映像は出てこないのに
二人の様子から、どんどん想像が膨らんでいくんです。
そのことに動揺し、過去に囚われてしまったダンナを
最初は気遣い、見守っていた妻が
だんだんと、変化していく。
その過程が見どころです!
そして
冒頭のカシャカシャ音の意味がわかるとき、
ハッ!となるんですねえ。
演じるシャーロット・ランプリングが
70歳にして、本当にシャキッとしていて美しい。
背筋伸ばし、スッとしたクールビューティーっぷりで
街中を歩く姿を遠目から見ると、
30代に見えますよマジで。
そしてその演技のすごさ。
激しい表現なしに、
体の内に荒れ狂う感情を、静かに演じていて
もの凄いです。
クールな表情の、薄皮一枚の下にある
氷の下のマグマが
透けて見えるというか。
そして氷が溶け、
崩壊を予感させるラストの表情が圧巻です。
特にこれ、女性には共感できると思う。
あんなに大事だったものが「フッ」とどうでもよくなる瞬間。
一度見切ると、凄まじく冷淡になる性質って
女性にはありますよねえ。
まあ男女問わず
必見です!
★4/9(土)からシネスイッチ銀座ほかで公開。
「さざなみ」公式サイト