パレスチナ問題はいつも
「こういう状況なのか・・・」と
こちらの目を覚ましてくれます。
「オマールの壁」71点★★★★
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ヨルダン川西岸地区。
イスラエル政府が
パレスチナ自治区に作った「壁」は、
それまでの隣人、友人をも分断した。
パレスチナの町に暮らす
オマール(アダム・バクリ)は
壁をよじ登っては、幼なじみに会いに行く。
オマールは幼なじみとともに
イスラエル兵に抵抗する“自由の戦士”になろうとしていた。
そんななかオマールは
親友の妹であるナディア(リーム・リューバニ)と
互いを意識し合う。
そしてオマールたちは
ついにイスラエル兵に対する、武力行動に出るが――。
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パレスチナ人同士を分断する、
イスラエル政府軍によって築かれた壁。
冒頭、その壁をよじ登っている
若者オマールが写し出される。
けっこう白昼堂々だし
見張りから発砲されたりもするんだけど
危険を冒しながらも、彼はごく日常的に壁を越え、
幼なじみや、好きな女の子に会いに行くんですねえ。
へえ、そういう状況なんだ、と
まず思いました。
オマールは親友の妹に恋してるんだけど
なかなか親友に言い出せない。
しかし、彼の幼なじみもやはり彼女に恋をしていて
そのことによって
彼らの運命が動き出す――というお話。
これは社会派映画というより
青春映画であり、ラブストーリーだと思いました。
さらに最後ハッ!とさせるミステリーでもあります。
いわゆる“器用な”描き方ではないので、
若干中だるみもあるけれど
粗削りななかでも、終盤のどんでん返しが効いている。
監督は「パラダイス・ナウ」(05年)で評価された
ハニ・アブ・アサド氏。
ここで起きていることは特殊だけれど
暮らす人々の営みやドラマは不変なんだ、ということを
描きたかったんだと思います。
★4/16(土)から角川シネマ新宿、新宿アップリンクほか全国順次公開。
「オマールの壁」公式サイト