ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

園子温という生きもの

2016-05-11 23:57:55 | さ行

2014年の「情熱大陸」で園子温氏を追った
大島新監督によるドキュメンタリーです。


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「園子温という生きもの」71点★★★★



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新作「ひそひそ星」の撮影を進める
“園子温”の姿を中心に、
その素顔を2014年9月から1年間にわたって追った
ドキュメンタリー。


冒頭、絵画制作のためにキャンバスに向かう園氏の姿に
まず圧倒されます。

おそらく、グデングデンに酔いながらも、
荒ぶる思いを、吐き出さずにいられないような氏の姿は
まさに“アーティスト”。


また園氏が
その日、その日で驚くほど違う顔になるのが、実におもしろくて
髪型もコロコロ変わるし、カットが変わると
一瞬「誰?」と思うこともあります(笑)


その多面性は
例えば
「ひそひそ星」のロケ地でもある福島で
地元の人に見せる優しさ、気の使い方、誠実さと

ときに荒ぶる画家として
自分の中の何かと闘う姿としても
捉えられている。

そんな
社会性と誠実、繊細さの同居が
氏の作家性と、人気を支えているのかな、と感じました。

そのほか
染谷将太氏、二階堂ふみ氏らのインタビューなども挟まり、
なかでも
妻・神楽坂恵氏のインタビューシーンでの出来事が
「え?」と衝撃。


園氏の実家に行くシーンも、けっこう衝撃(苦笑)
インタビューなどで
「犬神家の一族、みたいな家」とおっしゃっていましたが
ああ、なるほど!と(笑)

園氏の妹さんまで登場し、
鬼才のルーツがとてもよくわかります。

ただ、氏のとらえどころのなさは、やはり相当で
監督は、その苦労も隠すことなく、写している。


園氏から
「ドキュメンタリーなら、このシーンを抑えないと」など
さとされる場面もあって

同じ取材する立場として
自分も「グッ」と思うような場面なんですが

そんなもがきから
監督は多くを掴んだだろうな、と
うらやましい気もしました。


ちなみに監督は大島渚氏の次男で、
ワシの小学校の同級生でもあったりする(偶然!笑)

現在発売中の『週刊朝日』(5/20号)で
園子温×大島新 対談の記事も書かせていただいてます。

二人の関係性、共通点も
映画をひもとく一助になるかもしれません。
ぜひご一読を~!


★5/14(土)から新宿シネマカリテほか全国で公開。
「ひそひそ星」(園子温監督)と同時期公開。


「園子温という生きもの」公式サイト
コメント
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