ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

2020-01-26 14:47:08 | か行

こんな、荒唐無稽な事実があったら

こんなミステリーを作りたくなる気持ちもわかる。

 

 

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」70点★★★★

 

 

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世界的ベストセラー「デダリュス」三部作の完結編が

いよいよ出版されることになった。

 

出版を前に、9カ国語の翻訳家たちが

ある豪邸の地下室に集められる。

 

翻訳家たちは情報漏洩を防ぐため、

携帯電話もパソコンもすべて没収され、

厳しい管理下で、監禁状態で作業をする。

 

そんななか、ネットに小説の一部が流出し、

世間は大騒ぎに。

 

犯人は、事前に原作を手にすることができる

9人の翻訳家以外に考えられない――。

いったい誰が、どうやって?!

 

だが

世紀のミステリー流出問題は、

意外な展開へと進んでいき――。

 

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映画化もされ、みなさんご存じであろう

ダン・ブラウン著の大ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」。

その4作目「インフェルノ」の出版時に

実際にあったという「翻訳者隔離」にヒントを得たミステリー。

 

事前に内容を外部にもらさないように

9カ国語の翻訳家が、密室で、監禁状態で翻訳作業をさせられたそうで

 

世紀のベストセラーをめぐる、その狂騒の異常さを

皮肉った目線でとらえ、

そこからミステリーにした、ということなんだと思います。

 

 

最初は

9人のうち、誰が犯人なのか?

密室で監視のもと一体どうやって⁈

という方向で話は進むんだけど、

そのうちに、「そもそも、顔出しNGな、このベストセラー作家は誰なのか?」という

謎解きへと進んでいく。

 

ただ、100%すごく出来のいいミステリーかというと微妙ではあり

そもそも

これだけのベストセラー作家が、なぜここまで顔出しをいやがったのか?

従順だった出版社側の秘書が、なぜいきなり寝返ったのか?

(ここはどうしても、ピンとこなかった) 

などなど

不足を感じる部分もあるんですが

 

とにかく、沁みたのは

ベストセラーが殺人動機に十分になり得る、

出版界のギリギリの台所事情が、リアルに描かれている点でした(苦笑)。

 

 

低迷を続け、打開策をいまだもてない出版業界にとって

ベストセラーは、まさに会社を救う救世主にほかならない。

 

それを巡る争いって、

ああ、十分に殺人の動機になり得るよな・・・・・・と

うなずけるのが怖かったす。

 

 

★1/24(金)からヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」公式サイト

コメント (4)
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