なあんて、気持ちがいいんだろう。
「世界で一番しあわせな食堂」74点★★★★
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フィンランド北部・ラップランド地方の小さな村に
バスでやってきた親子。
寡黙な中国人チェン(チュー・パック・ホング)と
幼い息子のニュニョ(ルーカス・スアン)。
二人はバス停前の食堂に入り
食堂で働くシルカ(アンナ=マイヤ・トゥオッコ)や客に
たどたどしい言葉で
「ある人物の居場所を知らないか?」と問いかける。
しかし誰もその人も、その場所も知らないようだ。
困った様子の父子にシルカは
空いている部屋を宿として提供する。
翌日も食堂にやってくる客に聞き込みを続けるチェン。
そのとき、食堂に観光バスで
中国人の団体客がやってきて
メニューに不満を言い出す。
すると
チェンが「私に任せてもらえませんか」と
立ち上がった――。
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青い空と緑の大地を舞台に
なんともいえず、気持ちがふわっと、ほっこりする映画です。
市井の人々へのまなざしや愛は
弟アキ・カウリスマキ監督と通じるけど
よりゆったりとした空気、包容力、
シンプルかつ素直なやさしさが、ある気がいたしました。
ぶっきらぼうで、でも知り合うと優しく情に厚い
フィンランドのおっさんたち。
彼らのたまり場である食堂を切り盛りする
まだ若く美人で、でもちょっと事情ありそうなヒロイン。
そこにやってくる中国人の親子。
異国で困っている彼らに
ヒロインはごく自然に手を差し伸べ、
助けられた父チェンは
逆に困ったヒロインを、ある技能で助ける。
ある技能とは、ずばり「料理」。
チェンは有名なシェフだったのですね。
実際、コロナ前のラップランドには
中国人観光客が殺到するようになっていたそうで
監督が実際目にしたそんな風景が
創作のヒントになっているらしい。
チェンが地元のスーパーで
中国料理に使えそうな食材を集めて
工夫して料理を作るところとか
すごくおもしろいし、まあなんとも美味しそう!
ゆでたソーセージとジャガイモくらいしか出せなかったヒロインも
チェンとの交流で
食の大切さと滋養を体験してゆくのです。
ラップランドの自然と中国の料理が
体の内外に染み渡って
あ~癒やされた~。
★2/19(金)から新宿ピカデリー、渋谷シネクイントほか全国順次公開。
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