ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

カイジ

2009-10-04 18:28:41 | か行
いや~強烈に劇画チックで幼稚だけど
社会への意見映画でもある

「カイジ」67点。★★


フリーターのカイジ(藤原竜也)は
友人の借金の保証人になったせいで
サラ金会社の社長・遠藤(天海祐希)に
200万円もの大金を返せと迫られる。

「そんな大金とても返せない」というカイジは
遠藤に誘われるまま
「一夜にして借金をチャラにできるゲーム」
に参加することに。

しかしそれは想像を絶する
死のゲームだった――!
というお話。


原作マンガはずっと気になりつつ未読だったので
「こういう話なのか」と
知ることができて、まずよかった。


相手の裏を読み、文字通り命をかけての
サバイバルゲームは確かにハラハラするし

社会の負け犬たちを一貫して
クズ扱いするところも潔い。

彼らが社会の底辺で搾取され、労働させられるシーンは
映画「蟹工船」のデジャブかと思った。

まあそれだけ
今日的なテーマであるということです。


原作が描かれたのは96年。
まさに甘やかされて自意識だけは過剰、
でも自主性のない
ゆとり世代が社会に台頭してきた時代。


この映画も
「本当に自分がいるべき場所はここじゃない」
と思いつつも
言い訳ばかりで行動に移せない
腑抜けた人間たちへの過激な恫喝、と見るべきでしょう。


ただゲームの解説や駆け引きの種明かしが
とにかくくどい!


そこが幼稚たるゆえんなんだけど
想像力の足りない
幼稚な観客を想定してるとすれば
これも過激だなあ。

天海祐希が全体を
キリリと引き締めてくれてます。

★10/10から全国で公開
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私の中のあなた

2009-10-02 20:20:20 | わ行
キャメロン・ディアスが母親役に挑戦した

「私の中のあなた」70点★★☆


白血病の姉のドナーとして生まれた
11歳の少女が
「もう切り刻まれるのはいやだ!」と
両親を訴えるという話。


「天国のなんちゃら」とか「世界の中心でほにゃらら」とか
“いかにも”な映画を
敬遠してしまうぽつお番長ですが

今回は、このセンセーショナルな切り口に負けました。


で、結局ボロ泣きしました。

「かわいそう」ではなく
日々をつつがなく過ごせることに
感謝せずにはいられないって感じ。
意外と素直な番長です。


一瞬「裁判もの?」と思ったけど
そうではなく
家族に病を持つ人がいることの
不安定さやそれゆえ生まれる団結を
リアルに明るく描いた
いわゆる「家族もの」でした。


これ、実話だったらおもしろかったのになあ。

それでも
ありえなくない話だと思わせるほどに
病気の娘を助けることに全てをかける母親を
キャメロン・ディアスが熱演してます。


両親を訴える妹役が
「リトル・ミス・サンシャイン」の
アビゲイル・ブレスリンというのも見どころ。

敏腕弁護士のもとに一人乗り込んで行くシーンも
なかなか魅せてくれました。

が、それにもまして
白血病の姉役の子が迫真の演技なんですわ。


役柄上、ちょっと分が悪かったかな。


全体的に湿っぽくない
明るい雰囲気なのが救いです。

まあそれでも
泣きますよ、絶対。


★10/9から全国で公開
コメント (2)
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