25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

日本軍の兵士

2019年05月15日 | 社会・経済・政治
 日中戦争から太平洋戦争で日本人は軍人、軍属、民間人含めて310万人が死んでいる。その内の8割が戦争が終わる前の1年の間に集中している。すでに進出した東南アジアから採った資源を運ぶ船も軍事物資を運ぶ船も激減していた。軍人たちは戦死もあったが戦病死、餓死が多かった。アメリカは日本人兵士の心理分析を行い、それらのデータで、進駐軍が日本列島に踏み込んでも大きな混乱は起こらないだろうと踏んでいた。その大きな原因に軍隊の、上司、上層部の作戦力のなさ、馬鹿さ、士気のあがらなさがあった。岸元首相だの、中曽根元首相たちは前線にはいなかった。東條英機もいなかった。もちろん、陸軍大臣も海軍大臣もいなかった。1945年8月ではなく1944年に戦争を終えていれば死者8割が生き残ることができた。決められ内閣であった。天皇の鶴の一声があれば、と思うが、内閣は天皇に正しい情報を伝えなかった。
 頭が良いとされ、優秀な学業成績で、日本の各分野のリーダーになった人たちである。アメリカの兵力を客観的に分析すれば勝てるはずもない国力だった。それを軍部は精神論で戦うという愚策でどこまでも推し進めた。
 この国のリーダーたちは戦後73年で戦争から何を学び、リーダーとして成長しているのだろうか。ぼくらより若い丸山議員の意見を聞いていると、自分が前線に立って戦争にいくことは想定していないように思う。石原慎太郎と橋下徹が日本維新の会を立ち上げた時、丸山のような類が入ってきたのである。
 集団的自衛権が行使されれば自衛隊に入る人ーが減る。貧しい家庭の少年に勧誘がくるようになる。あるいは軍隊の専門的技術は公平に徴兵制によって国民にも習得してもらうほうがよい、と言い出す学者も出てくる。
 中公新書「日本軍兵士」(吉田裕)はデータとしても、文体としても冷静な書物であった。