奈良井宿に出かけると、駐車場から程近いところに製作現場兼倉庫兼販売所で漆製品を扱っていたお店があった。
街道沿いのお店はほとんど販売店なので職人の方とお話はあまりできないなか、このお店はご主人が販売しながらお箸を製作していたので、お邪魔とは思いながら声をかけさせて頂きました。
ご主人のお名前は立沢さん。漆職人です。
現在は摺り漆の商品が中心となっているそうですが、これは一重にお客様のニーズの反映だとおっしゃっていました。つまりあの黒とか赤などの漆器は手間隙がかかるため自然と値段も高額になってしまいお客様は手を出しづらくなってしまい、逆に割安な摺り漆の製品がここ2,30年は多くなってきたそうです。
お客様のニーズとおっしゃった立沢さんは常に「卸し」を考えて仕事をされているそうです。卸しは大勢のお客様のニーズを求め、また多くの商品を効率よく作っていかなければならないのです。
私が技術専門校の学生だと名乗ると、学校を卒業した人達は何人か見てきたけど「作ることに熱心で手間をかけすぎてしまい、商売や飯を食べていくという考えが少しおろそかかなぁ」と教えて頂きました。「モノづくりが好きでスタートすることはとてもいいこと。だけど卒業してその次の段階は商売ということも考えていかなければいけないと思うよ。作る基本を押さえたら、御幣はあるかもしれないけどあとはどれだけはしょり、きれいに見せるか」とおっしゃっていました。
この教えは私も何度か現場の人からお聞きしたことがありましたが、立沢さんはそれをご自身の現場で教えてくれました。
「2階にあがってきてごらん」
2階は立沢さんの仕事現場だったのです。たくさんの道具や資材、木のかけらがあるその部屋の奥には、犬か猫かわかりませんが木で作った台のようなものが山積みされていました。1階に戻ってみると、
「あれは花を置く台だよ。お店では一個2000円くらいで売っている。もちろんもっと手をかければいいものができるだろうけど、あれをどれだけの手間でこさえるかということも重要。同じようなものを他の人も作れるだろうけど、私は限りなく安く作業を少なく作ることができる」とおっしゃいました。
またお箸を製作している自作の小さな鉋も見せて頂きました。「このくらいの道具は自分で作らなければいけない」
見ず知らずの客?に、ご自身の作業現場まで見せて頂き、言葉だけでなく肌で勉強させて頂いた私は感動です。
ちなみに卸先ですが、私はは地元の組合経由などが多いのか思っていたのですが、実は組合はあまり関係がなく、すべてご自身で開拓、維持してこられたそうです。
帰り際、さらにうれしいことに、「今度は実際の漆をやっている現場を見に来てもいいよ」とおっしゃってくれました。漆の技術もさることながら、商売の考えについてもまた是非お話を伺わせて頂きたいと思います。
ありがとうございました。
街道沿いのお店はほとんど販売店なので職人の方とお話はあまりできないなか、このお店はご主人が販売しながらお箸を製作していたので、お邪魔とは思いながら声をかけさせて頂きました。
ご主人のお名前は立沢さん。漆職人です。
現在は摺り漆の商品が中心となっているそうですが、これは一重にお客様のニーズの反映だとおっしゃっていました。つまりあの黒とか赤などの漆器は手間隙がかかるため自然と値段も高額になってしまいお客様は手を出しづらくなってしまい、逆に割安な摺り漆の製品がここ2,30年は多くなってきたそうです。
お客様のニーズとおっしゃった立沢さんは常に「卸し」を考えて仕事をされているそうです。卸しは大勢のお客様のニーズを求め、また多くの商品を効率よく作っていかなければならないのです。
私が技術専門校の学生だと名乗ると、学校を卒業した人達は何人か見てきたけど「作ることに熱心で手間をかけすぎてしまい、商売や飯を食べていくという考えが少しおろそかかなぁ」と教えて頂きました。「モノづくりが好きでスタートすることはとてもいいこと。だけど卒業してその次の段階は商売ということも考えていかなければいけないと思うよ。作る基本を押さえたら、御幣はあるかもしれないけどあとはどれだけはしょり、きれいに見せるか」とおっしゃっていました。
この教えは私も何度か現場の人からお聞きしたことがありましたが、立沢さんはそれをご自身の現場で教えてくれました。
「2階にあがってきてごらん」
2階は立沢さんの仕事現場だったのです。たくさんの道具や資材、木のかけらがあるその部屋の奥には、犬か猫かわかりませんが木で作った台のようなものが山積みされていました。1階に戻ってみると、
「あれは花を置く台だよ。お店では一個2000円くらいで売っている。もちろんもっと手をかければいいものができるだろうけど、あれをどれだけの手間でこさえるかということも重要。同じようなものを他の人も作れるだろうけど、私は限りなく安く作業を少なく作ることができる」とおっしゃいました。
またお箸を製作している自作の小さな鉋も見せて頂きました。「このくらいの道具は自分で作らなければいけない」
見ず知らずの客?に、ご自身の作業現場まで見せて頂き、言葉だけでなく肌で勉強させて頂いた私は感動です。
ちなみに卸先ですが、私はは地元の組合経由などが多いのか思っていたのですが、実は組合はあまり関係がなく、すべてご自身で開拓、維持してこられたそうです。
帰り際、さらにうれしいことに、「今度は実際の漆をやっている現場を見に来てもいいよ」とおっしゃってくれました。漆の技術もさることながら、商売の考えについてもまた是非お話を伺わせて頂きたいと思います。
ありがとうございました。