猛暑日という言葉もそろそろ定義を変える時期に来ている気がする
35℃なんて当たり前なんだからただの夏日でいいんじゃない
もうこれからは37℃以上で猛暑日だね
やっぱり体温越えてるかどうかは明確に違う
体温越えの気温ではヒトのホメオスタシスは機能しない感じがしている
オートバイは真夏はオフシーズン
エアコン効かせた部屋の中で妄想は膨らむばかりだ
サンディエゴ・パドレスのピッチャー ダルビッシュ有と
元WBC日本チーム監督の栗山英樹との対談記事をネットで読んだ
印象的だったのは多くは野球経験者であるコーチではなく
データ収集や分析が役割のアナリストをスペシャリストと云っていたこと
自分の感覚と科学的分析を照らし合わせ
そこから課題を見つけ改善点を探っていくやり方は
今のメジャーリーグでは普通のことだと教えてくれる
経験も大切だがその裏付けに科学的なものを持っている必要があると
ダルビッシュは云い切っていた
オートバイのコーナリングは奥が深い
それはヒトの感覚と物理法則という相容れ難い要素を持つからか
またはライダーとマシンそれぞれの重心と運動系を持つからか
ライディングがスポーツであるなら
やはり科学的な分析や裏付けは必要ではないかと思う
恥ずかしいからあまり大きな声では云わないけど
オートバイのことがなんでそこまで好きなのかと云えば
操ることの面白さなんだと思っている
上手くいったり下手クソだったり
どこかで何かをカジってきてはそれを試しながら走る
そんなことをもう40年近くやっているような気がする
辻司、根本健、和歌山利宏
ボクの理論の柱はこの人たちの「言葉」だ
どうにもしっくりこないのは
佐川健太郎(ケニーとか自分で云ってる痛いオッサン)、柏秀樹
あとはほとんどの元レーサーたち
そもそもレーサーなんて科学以前に自分の感覚だけで走れている人が多い気がする
あの人たちにひとを教えることなど所詮無理なのだと思う
そもそも感覚を表現する「言葉」(理論)を持ち合わせていない
ライダーは進入で「Dive into the corner」して
「Get the inside」で旋回する、なんて文章に寒気がする
云っていることは感覚としてはわかる
でもこれが「ライディングの科学」の一節とは到底信じがたい話だ
そもそもヒトの感覚はめいめい大なり小なり異なっているものだ
だからライディングにも科学的な根拠が必要な時期にそろそろ来ている
コーナリングとはオートバイの運動なのか
それともヒト(ライダー)の動作なのか
ヤマハのモトボットの研究は
コーナリング論争に大きな楔を打った
オートバイが直進の安定状態から
どうやってリーンを開始し旋回に移ろうとするかを「科学的」に解明した
それどころかライダーの体重移動が実は不要だとも結論付けていた
旋回へ移行したオートバイが自分で曲がっていく(セルフステア)ことも
ステアリング軸とフロントフォークのオフセットや
キャスターアングルなどの操舵系の構造や
キャンバースラストやスリップアングル
オーバーターニングモーメントなどのタイヤが生む様々な作用で説明可能
グリップの強度もセルフアライニングトルクの増減でライダーは知ることが出来る
しかし本当にジオメトリーだけでオートバイが走るなら
ライディングのミスはなぜ起こるのだろうか
オートバイの動きだけにフォーカスされすぎて
体重移動なしに可能というだけで
ライダーがそこに関わるファクターを蔑ろにしていないだろうか
たとえは唐突だけれど
愛のない結婚は可能だとしても
そのことが男女間の結びつきに愛が不要だとは云えない
この位レベルの低い論理に聞こえるのはどうしてなのかな
読めば読むほど突っ込みどころがまだまだ満載な結論に感じるのだ
とりあえずこのステアリングのトルクステア制御に関しては
以前から倒し込みの方法として云われてきたもので
逆操舵とかカウンターステア、フェイントステアなんていう
クルマのドラテクでは別の意味に使われている言葉で表現されていた
辻司の「ベストライディングの探求」(1985年刊)
ボクのライディング探求はここから始まっているけど
その中にすでに「あて舵」と紹介されている
モトボットを引き合いに出して
オートバイのコーナリングは体重移動ではなく
このあて舵とセルフステアのバランスをとってコーナリングするのだ
と云い張る人は一定数いるが本当にそんなことが可能だろうか
もしくは速度域が人の認知能力をはるかに下回る極低速での話をしているのだろうか
公道のほとんどのコーナーがブラインド(出口まで見渡せない)の状況で
一瞬たりとも状況判断を遅らせられずもちろん見誤ることもなく
コーナーに合わせてステアリングトルクをコントロールするなど
コンピューターとセンサーなくして不可能だ
たとえ50km/hでも1秒間に14mも進んでしまうんだよ
鈴鹿の130Rに180km/hで進入してみたらいい
ちがうかな、どうだろう
ベストライディングの探求の辻さんのすごいところは
ただステアリングを押すのではなく
体重移動のための身体の移動と同時にグリップを押せと書いているところ
これは感覚と一致した動作に思える
だけどね
その辻さんもライダーが筋肉を動かしてすることと
そのフィードバックを感じることを混同してしまっている
これ、よくある「ライディングテクニック表現の誤謬」
運動神経を使ってすることとその結果、感覚(知覚)神経が感じるフィードバックを
同一視、もしくは混同している
しかも辻さんは(ボクは辻さんリスペクトしていますけど)
コーナリングのきっかけはイン側ステップへの荷重だ、と断言している
ご丁寧に、荷重と踏んずけるは違うから気を付けてとまで書いている
意図するところは間違ってないのだろう
でも、踏んずけずに荷重するは正直わかりにくい
なぜか
それはイン側ステップへの荷重は体重移動の結果であって
イン側の足からの感覚神経のリアクションに過ぎないからだ
言葉が定義されてもおらず使い方も曖昧
それよりももっとダメなのは
イン側ステップに荷重はしないでしょ?
イン側の足って基本ぶらぶらだよね、だってライダーは基本シートに乗っかてるから
極低速での車体コントロール以外でイン側ステップに乗る事ってないと思うけど
ちがう?
身体がロールしていく動きをイン側ステップへの荷重と感じて(考えて)しまっているだけで
内尻(ほんとは股関節)か外側の膝とか脚とかに荷重されてないかな
(オートバイに触れているのはそこだけだから)
佐川何某のライディングメソッドにダメだしするというブログ記事をたまたま見つけた
(佐川健太郎氏「バイクテク」にダメだし☆はじかれる反論)
おそらく骨格とか筋肉なんかの運動学を学んだ人だと思うんだけど
(ご本人は動作研究者、パフォーマーと名乗られておられる)
この記事に出会ってボクは興奮した
それはコーナリングの科学とはヒトの動作の科学だとうっすら感じていたからだろうか
コーナーへ向けてライダーが重心を移す動作は
彼が書いていたとおり「背骨を弓なりにする」ことが必要だろう
左へ重心を移動するのなら(左コーナーへ向けて)左の脇腹を開くような格好になる
(ここが重要なんだけど)特に意識は必要ない
意識するなら左肩関節(左上腕)が内旋し肩甲骨がずり上がることと
その結果として上半身のスパイラルライン(筋膜の連鎖)によって
骨盤の右側が肩に近付こうとする(引き上げられる)こと
つまり骨盤は左足の股関節を軸にして左へ回旋する
わかりにくいね
左カーブへ進入する時
背骨を弓なりにして左脇腹を付きだす(左に凸)ってこと
その時、左の肩と骨盤の右側が互いに引き合うような動きになっているかがポイント
違うかもしれない
でもこうするだけですべての辻褄が合う
イン側の肩を内旋する動きはあて舵になるし
イン側の肩がずり上がりアウト側は下がる
イン側の股関節に荷重を感じ
タンクがあればアウト側の膝や脚全体を介してそこに荷重が乗る
ただし下半身は実は何もしなくてもいい
骨盤は上半身の動きに合わせて動くはずだからだ
しっかり重心移動の動きが出来ていると
オートバイは経験したことがないほどスムースにコーナリングしていく
これは右利きの人が右にコーナリングする時顕著に分かる
どこにも力みのない、だから恐怖心や疑念もない
無重力のような気持のよい世界にいられる
力みが無いので対向車や路面の変化にも落ち着いて対処が出来るし
そもそもコーナリングスピードがあきらかに上がっているのを感じる
深く突っ込んで一気に向きを変えて旋回を楽しめるのだ
手足の使い方や頭の位置
ブレーキングだったりトラクションだったり
各論的なものも知識としてはあった方がいいと思うけど
そこではそんなすべてが完成されたパズルのようにピタリと嵌まっていることに気付くだろう
コーナリングを科学的に解析するとはいえ
コーナリングをあまり複雑に考えるのはやはり違う
鈴鹿8耐を久しぶりに最初から最後まで見たけど
ライダーたちの動きはみんなシンプルでナチュラルだった
コーナリングに必要な科学的根拠
それは結果的に気持ち良いコーナリングになっているはずだ
ただもちろんこれは結論ではない
なぜかといえば
やはりオートバイがそれ自身で曲がろうとするメカニズムは確かにあるからだ
そしてそこへライダーが動きを合わせているだけなのだという感覚もある
けれど直進状態の安定からコーナリング状態への安定へ移行するためには
絶対にヒト(ライダー)の意志とアクションが必要だ
オートバイが曲がるのか
ライダーがオートバイを曲げるのか
と云えばやはりライダーがコーナリングさせているのではないのだろうか
ながながと独りよがりな机上の空論をお読みいただきありがとうございます
興味がある方は一度お試しあれ
交差点の左折で左の脇腹を付きだすだけで
(無意識なのに)ステアリングが大きく右に振り出され
次の刹那には何事もなく左へステアしていくのを体感した時
確実な重心移動の大切さを目の当たりにしてしまって興奮したって訳です
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