ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

メメントモリ

2020年10月15日 | 日記・エッセイ・コラム
さわやかな秋の一日

ある人の葬式に行ってきた


勤め先の同僚だけど

山登りの人だった


この歳まで生きてると

不慮の事故で亡くなる人の葬儀に行くこともあるけど

Sさんが大好きな穂高で滑落して命を落とすなんて

微塵も考えなかった


台風が南岸遥をかすめって行った日

日本列島に横たわった前線の雨は激しかった

気温もかなり下がって

3000メートル級の穂高はどれほどのシビアケースだったか


彼とてこれが最後の山行だなんて夢にも思わず

されど山の危険さは誰よりも理解していただろうし

腋下に流れる冷たい汗の意味を覚悟をもって受け入れていたはずだ


「死んでもいい」なんてことは絶対にない

「死ぬかもしれない」は意識されずにザックの片隅にしまい込む


山は素晴らしい経験なのだろう

オートバイライディングの素晴らしさにも似て

言葉にできない戦慄とカタルシス

危険と引き換えに、ではない

危険を手のうちに入れて


オートバイに長く乗っていると

一度くらいはやばい事故にあうこともある

オートバイはとても危険だ

一瞬で命を落とす

死と直結する行為であることを忘れるな


養老先生は「死には1人称、2人称、3人称の3種類がある」と書いていた

1人称は自分の死、3人称はどこかの誰かの死

そして、最も重いのが2人称の死、すなわち身近な人の死だ

自分の死が身近な人の2人称の死になることを想像してみてほしい

メメントモリ

そのことは忘れてはいけないのだと、さわやかな秋の空を眺めていた






最新の画像もっと見る

コメントを投稿