アーバンライフの愉しみ

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D・H・ロレンス著 木村政則訳「チャタレー夫人の恋人」

2021年02月20日 | 名作読破PRJ

 

世界名作読破プロジェクト。
光文社(古典新訳)文庫版、674頁。

先の英国TV映画に触発されて原作を読んでみようという気になったが、図書館で伊藤整訳の文庫版を手に取ってみると、もう手垢べったりのヨレヨレ本でとても読む気にならず、AMAZONから光文社の新訳中古本を取り寄せて読んだ。

1950年、伊藤整訳が出版されると性愛表現を巡って裁判となり最高裁まで争われたが、当時の世相を反映して有罪となり、文学書として読書の対象にする風潮は大きく後退してしまった。

今こうして読んでみると、何故その性愛描写が問題視されたのか不思議で、むしろ、今もって続く英国における階級社会の過酷さと女性解放の闘いこそが、この小説の主題であると認識した。

当時の英国における閉鎖社会の中で、主人公のコニー(チャタレー卿夫人)とその恋人であるメラーズ(森番:労働者階級)が階級の違いを乗り越えて愛し合い、真の人間解放のために闘った意義は大きく、これに共感しつつ読んだ。ご一読をお勧めします。(★★★)

 

 

 

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