「小説現代」1979年1月~80年1月隔月掲載の連作長編、文春文庫。
昨年は直木賞候補作中心の読書だったせいか何となく不満が残り、この際スカッとしたいとの思いもあって掲題書を借りてきて読んだ。
結果は大正解で、久しぶりの「藤沢節」に酔った。
主人公の立花登は医学を志す若者で、開業医の叔父を頼って江戸に出て来た。叔父の代診として小伝馬町の牢屋敷に通う内、獄中医として囚人を診るようになるのだが・・・。
また、登が当時としてはめずらしい「柔」の達人として活躍する異色の舞台設定となっている点が面白い。加えて、登の囚人の訳ありの人生に寄り添う生き方にも共感する。
以下、同シリーズの「風雪の檻」、「愛憎の檻」と続く。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)