アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

HAIROニュースNo.46

2023年08月29日 | ドラミング

 

泊原発廃炉訴訟の現状を伝える「HAIROニュース」第46号が発行されました。

主要点は下記の通りです。

 ①7月14日控訴審(札幌高裁)第1回口頭弁論
 ②1審全部敗訴原告の控訴状、理由書等の提出
 ③1審一部勝訴原告の答弁書及び、第1準備書面等の提出
 ④1審原告意見陳述(別項)

次回公判は、11月8日午後2時30分に開廷されます。多くの方の傍聴をお願いします。

●1審原告意見陳述は下記の通りです。

「核はあってはならないエネルギー」 控訴人 増田健治

「私は札幌市清田区在住の増田健治と申します。

現在、薬剤師・鍼灸師として、健康講演や無料で難病治療を行っています。その中で感じることは、政治が劣化し、権力が私物化されているということです。損得が優先され、倫理観が失われているとしか思えません。これにより、不健全な社会となり、良識ある人々は怒りと失望で苦しんでおります。

見て見ぬふり、自分さえ良ければ、という価値観が横行し、昔からのお天と様は見ているという認識は薄れ、正直者はバカを見るという社会の風潮が、核問題に色濃く反映していると感じます。

2011年3月11日、東北の震災での原発事故により放射能が拡散し、多くの町が廃櫨となり、安全神話は崩れました。地震大国の日本においては、近い将来同じことが起こる可能性もあり、日本中が恐怖や不安や絶望感に包まれ、危険極まりないエネルギーであり、万人に不幸をもたらしうると多くの国民が感じたと思います。

この教訓から、復興と並行しながら政府は原発推進を見直し、再エネにシフトしていくはずでした。もしこのタイミングで再エネを積極的に導入していたとしたら、インフラ環境が整えられ、確実に廃炉に進んでいたと思います。結果的にこのことが、大きな国民の負担となっている電気代の高騰の一つの要因にもなっています。明らかに原発推進派の党利党略と原発利権が働いて、国民を欺き、ごまかしたとしか考えられません。

2012年6月、自宅に太陽光発電を導入しました。自分で再エネを発電・利用できることで、脱原発に1ミリでも近づけたらという理由からです。電気の不足分は北電から買っていることで、原発依存に手を貸す一面もあることと、全ての電気を再エネにするため、2022年4月より買取り先を再エネ業者の生活クラブに切り替えました。さらに、脱原発目指し活動している「廃炉の会」があることを知り、自分事として声を上げなければ、政権の思うつぽで、原発行政が正当化されてしまうと考え活動に参加しました。

しかし、残念なことに、国民の声は全く無視され、今年5月31日原発回帰のGX法が参議院本会議で、反対の抗議もむなしく可決されました。

新型原発の増設、管理・耐震基準の見直しと、耐用年数を40年から60年に延ばし再稼働を計ろうとしています。このような大転換政策を、十分な議論がないまま、数に任せて押し通すさまは、独裁政権の暴走というしかなく、権力が乱用され、民主主義が失われています。原子力規制委員会は全くその使命を果たせていません。この暴走を抑え、特に倫理的議論のテーブルに着かせるためには、利害の絡まない調査機関としての第3者委員会の設置がぜひとも必要だと考えます。

私達は、科学技術の進歩により、豊かさと便利な社会を手に入れ、欲望を追求した結果、自然をないがしろにし、コロナ禍、CO2による温暖化、自然破壊が生じ、自然の自浄作用が限界を超え、世界中に壊滅的な自然災害が頻発しています。同様に核の存在も、自然には無い不自然な利用により、自然破壊からの暴走がいつ起きても不思議ではありません。

自然をないがしろにした非自然的行為が、自然の逆襲を招いています。人間は自然の力には叶わないし、自然をコントロールすることは不司能です。同様に核も、安全に管理しコントロールすることは絶対に不司能です。何でも思い通りになるという傲慢さを捨て、謙虚になるべぎです。

そもそも安全性の基準に何の根拠や確証も無いことや、専門家が安全だとして福島の原発事故が起きたことを考えあわせ、絶対に安全に管理することは不可能です。

まして今後起こりうる想定外の出来事に対して、根拠のある安全性や耐震基準を示すことは絶対にできないはずです。このことがもし否定できるとしたら、認識不足による想像力の欠如か、あまりにも甘い考えの思い込み以外の何物でもありません。

目然の摂理に反した核の利用を止め、再エネにシフトすることでしか持続可能社会を築くことはできません。脱炭素社会に向けて主力の火力発電の比率を減らしながら、再エネをべースロード電源にする技術を確立し、原発に頼らない社会こそが、健全なあるべき姿だと考えます。

今この時、泊原発に大地震等の事故が発生し、放射能漏れが起き、泊周辺や、風向きによっては札幌のまちが廃櫨になる可能性はゼロではありません。また起こらないと言い切れる人はいないはずです。

私達はパンドラの箱を開けてしまいました。今既にある核と廃棄物を長期的に安心・安全に保管・管理する技術は存在しません。私達は試されています。期限の設定していない時限爆弾在抱えているのと同じです。原発の利用を考えている場合ではありません。これ以上核のゴミを増やす行為は狂気の沙汰です。一刻も早く廃炉にし、立場を超えて知恵在絞り、将来に残る負の遺産の悪影響をいかに最小限にするか考え行動するときです。これこそが私達に与えられた使命です。

廃炉にしたとしても、その先に多くの難題が待ち受けています。それゆえに、今直ぐに廃炉にもできないとしたら、これだけは断言できます。日本の未来はない、と。」

 

 

 

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