「小説すばる」2022年11月~23年7月連載、集英社刊、273頁。
中島さんの最新刊「坂の中のまち」を借りたいと図書館へ行ったら、10人待ちとのことで、やむなく本書を借りてきて読んだ。
「うらはぐさ(風知草)」は、イネ科に属する日本の固有種で、本来、裏となるべき葉の面が上を向き、表裏あべこべになって生育することからこの名が付いたと言う。
主人公の「紗希」は離婚を期に米国から帰国し、武蔵野の一角に位置する「うらはぐさタウン」で母校の講師として暮らし始めるのだが・・・。
中島さん独特の柔らかいタッチの文章と穏やかな人間関係が紡ぎ出されていく物語で、肩ひじ張らず読み進めることができた。
この調子で行くと、今度は中島ホーリックに陥りそうな予感がする。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★)