春を告げる樹木花(1)には、「マンサク」、「ミツマタ」、「アブラチャン」の花を挙げます。
皆、寒い灰色の世界に春を告げる素朴で質素な感じの花々です。
<「マンサク」>
「マンサク」(満作)も、黄色い花を咲かせる早春の樹木花です。
山肌に咲く様子は、遠目には、黄色い霞が懸かったようです、香りが遠く迄、漂います。
赤茶色の蕚と黄色で細長い紐の様な花弁とのコントラストを愉しみます。
葉の展開前に花が咲くのは、他の早春の樹木花の特徴です、葉は、秋には紅葉します。
花弁は、4枚、雄蕊も4個、雌蕊が2個、赤褐色の萼、花弁は、ユニークな形で、黄色で細長い紐状です。
同 じマンサク科、トキワマンサク属の「トキワマンサク」(常磐万作)
「アカバナトキワマンサク」(赤花常磐万作)、別名「ベニバナトキワマンサク」(紅花常磐満作)が、名前のとおり常緑なのとの違いです。
亦、「マンサク」より、開花期が早い(1月~3月頃)、中国原産の「シナマンサク」(支那万作)が有りますが
一見、判別が難しいのですが、ポイントとして<「シナマンサク」(1)は、開花期に前年の葉が付いている場合が多い
(1)の葉は、表面に毛が生えているが、「マンサク」(2)は、無毛
花の中心部が(1)は、暗赤色で、(2)より濃い、開花期が(1)は、(2)より早い、(1)は、(2)より花に強い香りが有る
花の大きさは、(1)の方が、(2)より大きい>等々です。
尚、“万作、満作” の名前の由来は、昔、稲の作柄を占う樹木花で、花が、沢山咲いた年は、豊作になるとか
黄金色の花を咲かせる姿が、豊年満作の縁起担ぎから
他に、早春に咲くので “まず咲く” を東北地方の訛りで “まんず咲く” から「満作」になった由
マンサク科、マンサク属、落葉小高木、日本原産、学名 Hamamelis japonica 、英名 Japanese witch hazel
別名「アオモミ」、「ハマメリス」
下図は、「シナマンサク」
下図は、「トキワマンサク」(Loropetalum chinense)の花です、常緑なのが分かります。
下図は、常緑の「アカバナトキワマンサク」(Loropetalum chinense var.rubra) の葉と花です。
次 は、黄色い「ミツマタ」(三椏)の 花です。
葉が芽吹く前に、黄色い色の球状の頭状花序を着けた花(萼)を咲かせます。
筒状の萼の先端が、4裂して反り返り半球状に密生して咲きます、花弁が無いのが特徴です。
三つの枝に分岐した枝先に、花(萼)を着けます、「ミツマタ」の名前の由来とか、芳香が有ります。
樹皮は、「コウゾ」と同様、和紙の原料になります。
ジンチョウゲ科、ミツマタ属、落葉低木、中国、ヒマラヤ地方原産
学名 Edgeworthia chrysantha、英名 Oriental paperbush、別名「ミツマタノキ」
枝が、三叉に分枝しているのが分かります、名前の由来とか
黄色い花の「ミツマタ」の他に、園芸種で赤い花の「アカバナミツマタ」が、有ります。
「ミツマタ」の黄色い花とは違って、名前のとおり赤い色をしています。
蕾の頃は、確かに黄色い色をしていますが、開花に伴って、徐々に赤みを帯びてきます。
「ミツマタ」より若干早い開花期を迎えます。ジンチョウゲ科、ミツマタ属、落葉低木
中国原産(園芸種)、学名 Edgeworthia chrysantha ´Rubra`
白色に見える蕾が、開花するに従って、花弁の内側の赤色が、露わになってきます。
早春の山野を彩り「アブラチャン」の淡黄色の花です、寒い冬にも、春の息吹を感じます。
<「アブラチャン」>
早春の花の色は、黄色が多いのか、「アブラチャン」も照り輝く黄い花を咲かせます。
「マンサク」(万作)と同じ様に、葉が出る前に花が咲き揃います。
太陽の光の色を待ち焦がれて、先取りするからでしょうか ・ ・ ・
「アブラチャン」の名前も妙ですが、<アブラ>は、<油>で、<チャン>は、
<チャン>は、粘着性の有るものの総称の<瀝青>は、<アスファルト、ピッチ>のこととか
種子や樹木に油分が多いので昔は、灯油などを採取した様です。
散形化序に小さい淡黄色の花を咲かせます、似た花に「ダンコウバイ」(檀香梅) が有りますが、皆、”春告げ藩” 達です。
“花茎が在る「アブラチャン」、花茎が無い「ダンコウバイ」” で区別できます。
クスノキ科、クロモジ属、耐寒性落葉高木、雌雄異株、日本原産、学名 Lindera praecox (Parabenzoin praecox)
別名 「ムラダチ」、「ズサ」
学名の <Praecox >とは、“早咲き”、“早熟” の意味とか、早春に咲くからですか。